“英雄ん”はむやみに戦火を広めるべきではない。
  ゲスどもに襲われた故郷がまりさの記憶から剥がれない。
  あれから考えたに考えた結果が口から産み落とされる。 

「ゆん、ほんとうのえいゆうはみんなをゆっくりさせることなのぜ。なら、みんなをまもれるまりさはおとなしくむれのしゅごしんさんになるべきなのぜ!!」 



 元々、人間の群れに侵攻する士気向上のために広場で演説するつもりのまりさだったが、自分が過去に味わった苦しみを思い出し、群れを防衛するためだけに自分の力を使おうと決めたのだ。 
「みんな、まりささまがまもってやるのぜ! だから、あんしんしてゆっくりするのぜ!!」 

「「「「「まりさ!!!!!!!!!!!」」」」」 

 この熱狂は変わらずに残っていてくれた。まりさにとってこれほどまでに嬉しいことはなかった。 


 そんなこんなで、まりさは巣立ち、群れから与えてもらった二番目に良いお家でありすやれいむ、ぱちゅりー等の若いゆっくりを侍らしていた。 
「むきゅ~ん、まりさのそばにいられてしあわせだわ~」 
「ひとりをえらぶんじゃなくてみんなをびょうどうにやしなってくれるなんて、とってもとかいはね!」 
「そうだよ! こんせいきさいだいのびゆっくりであるれいむのぱーとなーにふさわしいまりさだよ!」 
“たくっさん”のゆっくり、中には気に食わないゆっくりもいるが、まりさは自分のゆん生に満足していた。これが、これこそが自分の望んだ生き方なのだろうと。クソガキで誰からも助けられず野垂れ死ぬ筈だった運命を考えれば破格物の待遇。自分のお家は自分が何もしなくてもありす達が掃除するし、自分を慕う仲間たちが群れを守ってくれる代わりと言ってご飯を貢いでくれる。また、すっきりしたくなったときは率先して愛人ゆっくり達がぺーろぺーろと口で奉仕をしてくれる。 
「ねぇ、そろそろれいむはまりさのこどもがほしくなったよ! おねがいだから、まむまむになかっだしさんしてね!」 
「むきゅ!! ぱちぇにすーりすりするほうがさきよ!!」 
「ありすにまりさのこくまろぺにぺにみるくをぶっかけてぇえええ!!!」 
 子供を作りたがるのはまりさの妻としての垢抜けた位が欲しいからだ。だが、まりさは特別の一匹を選ぶ気はない。愛は常に平等がモットーだからだ。れいぱーと同じ考えなのが少し癪ではあるが。 

 だが、まりさは油断していた。 
「むきゅん! まりさ、こどもができたわよ!!」 
 あれほど出したときはごっくんしろと言ったのに。ぱちゅりーは飲み込まずに精子餡を肌に摺りつけたのだ。キリっとした目を光らせながら、優越感に浸るぱちゅりーの額から生えたきた子どもが“たくっさん”。ぱちゅりー種が2匹にまりさ種がたくさん。 
 いっそ、まりさお得意の口八丁で丸め込み、殺させようと思ったが、子供の安らかに実った顔を見てしまえば、ゆっくりの性として愛でざるを得なかった。 
「ぱちゅりー、こどものめんどうはみるのぜ? でも、ぱちゅりーはやくそくをやぶったから、じょちゅうさんとしてしかつかえさせないのぜ!!」 
「ぱちぇはほんさいさんよ!!!」 
「だまるのぜ。ほんさいさんはほんとうにあいしたあいてじゃないとだめなのぜ。まして、うそをつくゆっくりはげすなのぜ」 
 平等な愛を害するものはそれ相応の対応をせねばなえらない。心は痛むが、まりさには譲れないところだった。結果としてこの言葉が暗い未来への入り口となることは、この時知る由もなかった。 
「ぱちぇはげすじゃない!!!」 
「でも、ぺなるてぃーさんはひつようなのぜ?」 
「こどものめんどうをみるのがおっとのぎむよ! そして、そのつまをあいするのもぎむなのよ!!」 
「あいのないすっきりはいっしょにゆっくりできないのぜ? そんなこともわからないの?」 
 ヒートアップする口論を続けていると、突然ぱちゅりーがまりさの顔目がけて飛んできた。ちゅっちゅをする形で一緒に壁まで飛ばされてしまう。 
「そうだよ! じょちゅうはなまいきいってないでまりさのためにはたらくんだよ!」 
「そうよ、このげす!! おまえはうんうんだけたべてればいいのよ!!」 
 ぱちゅりーを退かして、巣の入り口を見ると取り巻きたちが“たくっさん”集まっていた。パチュリーをのぞく取り巻き全員が集まっているのだろう。 
「ぱちゅりー、じぶんがゆっくりしたいからってそれはないでしょ…」 
 取り巻きたちが口論を一部始終聞いていたらしい。にやにやと唇を吊り上げながらぱちゅりーを攻め立てる。 
「だって、ぱちぇだって、まりざのごどもがほじがっだだけだどでぃ!!!」 
 泣きじゃくりながら弁明をするぱちゅりーに取り巻きたちは有無を言わせずに反論する。 
「げすのぱちゅりーだけがそうおもってたわけじゃないよ! それもわからないの? ばかなの? しねば!?」 
「ほんと、むなくそわるい、いなかもののげすね。ひげきのひろいんきどってまりさのきをひこうだなんて」 
「ち、ちがう…ぱちぇは……」 
 もごもごと口を動かすぱちゅりーであったが、口から言葉が吐き出されることはなかった。 
 見兼ねたまりさは取り巻きたちを窘めるが、 
「まりさはとかいはなびょうどうのあいをわけあたえてくれるのに、なんでありすたちにこどもをつくらせてくれないの?」 
「そうだよ、れいむ、まりさのあかちゃんほしいよ!」 
 返ってくる返事を返し切れなかった。 
 口論は増々、ぱちゅりーを陥れるものと変わり、また、常日頃から子供を作りたがっていた取り巻きたちの要望を推し進められる形となった。その流れを変えられるほど、ぱちゅりーは口が上手でもなく、まりさのおつむでも到底処理しきれない。 
 子どもを作ることに英雄学を感じるのではないかとまりさの思考はシフトチェンジし始める。そういえば“英雄ん”は色を好む生き物だ。今までもそうだった。そして、優秀な子供たちを産み与えることで更にゆっくりできるし、将来子孫たちが最高のゆっくりを手に入れる布石となるはずだ。食料についてはまりささまの威光を使えば何とかなるだろう。 
「わかったのぜ! そんなにまりささまのぺにぺにがほしいならくれてやるのぜ!」 
 ビンビンの勃起させたぺにぺにを取り巻きたちが囲んで驚嘆する。我先にとその種子を求めて飛びつく取り巻きとは別に、リンチを食らいつつもまりさとの子供を守り続けた息絶え絶えのぱちゅりーはまりさを睨みつけている。 
「「「「ゆー!! はやくまりさのみるくさんをちょうだいね! いっぱいでいいよ!!」」」」 
 ぱちゅりーは犠牲になったのだ。英雄に犠牲はつきものなのだ。強引で理不尽な考えがまりさを理論的に納得させた。ゆっくりの思考回路では十分に理論的に。 

 ゆっくりと人間は他の生き物とは一線を超えた生き物であるという表現がある。言葉というツールを使い、道具というサポーターを使い、奴隷というシステムを使い。正確には前の一つだけ該当するものといえるが、行われる行動の質としてはゆっくりと人間が最も近い。 

 取り巻きたちは妻へと進化した。凱旋パレードのように、実った子供たちを見せつける妻たちに群れのゆっくりたちはとってもゆっくりできた。ただ、一匹とその両親を除いて。