「さあ、ここが君たちのゆっくりプレイスだよ。ゆっくりしていってね!」 
「「ゆっくりしていってね!!おにいさん、ありがとおおぉ!!」」 
「ごびゃんしゃん!!ごひゃんじゃああん!!」 
「おにゃがじゅいだおにゃがじゅいだおにゃがじゅいだああぁ!!」



お兄さんの家に招き入れられたれいむとありす。 
泣きながらびたんびたんと暴れる我が子たちに焦り、れいむは青年に催促した。

「ゆゆっ!!おにいさん、おちびちゃんにごはんさんをあげてねっ!!」 
「ああ、今持ってくるから待っておいで」 
「「ゆっくりありがとうっ!!」」

お兄さんはすぐに、奥からゆっくりフードを持ってきてくれた。

「さあ、みんなでお食べ。いっぱいあるからね」 
「ありがとう、おにいさん!!」 
「ゆっくりいただくわ!!」 
「むーぢゃむーぢゃ!!むーぢゃむーぢゃ!!」「じばばぜーっ!!まじぱねぇ!!」

飼いゆっくりの舌が肥え過ぎないように甘味を抑えたゆっくりフードは、 
かつてお姉さんの家で食べさせてもらっていた懐かしい味だった。 
久しぶりにお腹いっぱいの食事を食べ散らかす子供たちに、れいむとありすは安堵する。

干し柿のようになっていた身体が再び球形に膨れるまで食べると、子供たちはゲップをして言った。

「ゆぷーっ!!きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!」 
「ときゃいは!!ときゃいは!!ちゅっきりーっ!!」

食べたその場でうんうんをしてしまう。汚れた身体で床を汚さないよう、新聞紙の上に座らされていたのが幸いした。 
その場ですぐにうんうんを出せるほどたらふく食べさせられたのはいつ以来のことだろうか。 
お兄さんは怒らずにこにこしている。 
このお兄さんは、本当にこのおちびちゃん達の魅力を理解しているのだ。こんなにゆっくりしてくれているではないか。 
自分たちの子育ては間違っていなかったのだ、そう確信してれいむとありすは視線を交わしてゆふふっと笑い合った。

「「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」」

うんうんをしたあと、すぐに寝息を立てはじめるおちびちゃん達。 
そこでお兄さんが言った。

「さて、そんな汚れた身体でうろつかれちゃ困るからね。まずは洗ってあげるよ」 
「ゆっくりりかいしたよっ!!」 
「とかいはなえすこーとをおねがいするわっ!!」

風呂場に連れてゆかれ、丁寧に野良生活の汚れを落とされる。 
ぬるめのお湯で濡らし、シャンプーと石鹸でこすって汚れを落とし、タオルで拭く。 
すべては手早く行われ、水に弱い饅頭のゆっくりを扱い慣れているのがわかった。 
眠っているおちびちゃん達も、起こすことなく素早く洗われた。 
ぺーろぺーろでも落としきれないうんうんと泥まみれだったおちびちゃん達が、 
再びもちもちすべすべのほっぺを取り戻すのを見るに至り、れいむ達はうるうると感動の涙を浮かべた。

「「ゆゆうううぅぅぅ~~~~ん………おちびちゃんたち、とぉ~~~~ってもゆっくりしてるよおおぉぉぉ~~~……!!」」 
「君達は本当におちびちゃんが好きなんだね」

クッションのベッドで寝かしつけながら、お兄さんはれいむ達に言う。 
れいむとありすは頷き、おちびちゃんがどれだけゆっくりしているか、 
そして意地悪な人間さんとゆっくり達がどれだけおちびちゃんに嫉妬して意地悪してきたか、 
これまでの経緯をお兄さんに訥々と語り始めた。

「それでね、みんなおちびちゃんをおうちにいれてくれないんだよ……」 
「おちびちゃんがきたないのはあたりまえなのに、みんないじめるのよ……」 
「おねえさんにはほんとうのゆっくりがわからなかったんだよ……」 
「ゆっくりがわからないのにゆっくりをかおうとするなんて、とかいはじゃなかったわね……」

初めての理解者を得たれいむとありすの愚痴は、夜中まで延々と続いたのだった。 
にこやかにうんうんと頷いて聞いてくれるお兄さんの表情を見るにつけ、れいむ達は、 
ここがおちびちゃんを心ゆくまでゆっくりさせてくれる、終生のゆっくりプレイスだとの確信を新たにした。

(ゆ、ながかったね………ありす) 
(そうね、れいむ………いなかものなわからずやばかりだったけど、わかるひとにはわかるんだわ) 
(ここならおちびちゃんがゆっくりさせてもらえるよ。 
おちびちゃんも、おかあさんたちやおにいさんをたっぷりゆっくりさせてくれるよ) 
(ええ。ほんとうに、しんじつはいつかむくわれるものなんだわ…………)

おちびちゃん達と一緒に寝床の中で身を寄せ合いながら、れいむ達は穏やかな表情を浮かべて囁き合ったのだった。


――――――――


「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆ………ゆぅぅぅ~~ん」 
「ゆぅぅん………とかいは………ゆっ」

眠りから覚め、れいむとありすは天井を視界にとらえて目をぱちくりさせる。 
路地裏のかびくさい狭い隙間ではない、屋根も壁もある家の中で、二匹はふかふかのクッションに横たわっている。 
その幸せに二匹は表情をほころばせ、ゆっゆっと身を揺らしていたが、すぐに表情が固まった。

「ゆ゛っ!!おちびちゃんっ!!?」 
「どこっ!?」

傍らで一緒に寝ていたはずの子供たちがいない。 
色をなして辺りを探すと、すぐにあのお兄さんの顔が見えた。 
お兄さんはすぐ側に座り、にこにこと笑って自分たちを見つめている。

「ゆっ!!おにいさん!!おちびちゃんはどこぉ!?」 
「ゆっくりおしえてねっ!!かくすのはいなかものよっ!!」

お兄さんは親指を立てて右側を指し示す。 
見ると、やはりすぐそこにおちびちゃんはいた。

「おにゃかしゅいちゃあああぁぁ!!ゆぇええええん!!ゆびぇえええええん!!」 
「ごびゃん!!ごびゃん!!ちょうだい!!ちょうだい!!ちょうだいちょうだいちょうだいいいぃ!!」

お腹をすかし、朝食を求めて泣き叫んでいる。 
痛ましいその姿に、れいむとありすは駆け寄ろうとしたが、しかしもう一つ、昨夜まではなかったものが部屋にあった。 
四畳半ほどの部屋を半分に区切るように、ペット用の柵が設置されていたのだ。

柵を構成するプラスチック製の格子は斜め十字に組み合わされ、 
その隙間は大きく、向こう側もよく見えた。 
しかし、親ゆっくり二人はもとより、よく育った子れいむと子ありすもぎりぎり通れない程度の障害になっている。

ぼすんぼすんと柵に突撃したが、柵はびくともしない。 
にこにこ笑っているお兄さんに向きなおり、ありすが叫んだ。

「おにいさんっ!!これはなんなのっ!?」 
「見てわかるだろう。柵だよ」 
「これじゃおちびちゃんとすーりすーりできないでしょおおおぉぉ!!? 
さくさんをすぐにどかしてねっ!!あとおちびちゃんにごはんさんをあげてねっ!!」 
「柵はどかさないが、ご飯はあげよう」

お兄さんが、背後から二つのものを取り出した。 
一つは箱入りのゆっくりフード。もう一つは、先端に行くにつれて広がっている、長くて平たい棒だった。

「このご飯を、今すぐにおちびちゃんにあげよう。ただし、条件がある」 
「なんなのそれええぇぇ!!?いいからはやくごはんさんをあげてねえぇぇ!!」 
「おちびちゃんがないてるのがみえないのおおぉ!!?」

バシィン!!

「「ゆぎゃあっ!!?」」

激しい痛みが、二匹を襲った。 
「熱い」と形容してもいいようなひりひりした苦痛。何が起こったのかわからぬままに身悶える。 
お兄さんが手に持ち、振っているそれを見て、ようやく自分たちに起きたことを理解する。

「元飼いゆっくりならわかるだろう?飼いゆっくりは飼い主の言うことを聞くものだよ」 
「「…………!!」」

ぶるぶると震えだす二匹に向かって、ヒュンと音を立てて素振りしながらお兄さんが念を押す。

「返事が聞こえないなぁ?」 
「「ゆっぐじりがいじばじだ!!」」 
「よしよし。元飼いは話が早くて助かるよ。 
で、このご飯のことなんだが。条件があると言ったね? 
その条件というのは、本来別にわざわざ断るようなことでもない。 
飼いゆっくりの仕事は、飼い主をゆっくりさせることだ。そうだね?違ったかな?」 
「ぢがいばぜんん!!」 
「がんばっでおにいざんをゆっぐりざぜばずうう!!」 
「うん、いい返事だ。 
つまり、僕をゆっくりさせてくれれば、見返りに君やおちびちゃんたちにご飯をあげる、ということだよ」 
「ゆ、だ、だいじょうぶだよ!!れいむたちはおにいさんのいうことをきくよっ!!」 
「それに、おちびちゃんをみればおにいさんもゆっくりできるはずよっ!!」 
「ああ、違う違う。違うんだなあ……っと」

バシィン!!

「あびいぃっ!!?」 
「れいむうぅう!!?」 
「僕はね、『虐待お兄さん』なんだよ。 
君達が苦しんで悲鳴をあげてのたうち回る様が、何よりもゆっくりできるんだ」 
「「……………!!!」」

衝撃のカミングアウトを前に、れいむとありすはがたがたぶるぶる震えだした。 
話には聞いている。世の中には、ゆっくりと見ればわざわざ苦しませて楽しむ虐待お兄さんなる人種がいるのだと。 
そういう相手もいるから、むやみやたらに人と関わらないように、飼いゆっくりは飼い主から、野良は親から教わる。 
そんな相手に、れいむ達はぶち当たってしまったのだ。

張りつめた空気の中で、おちびちゃん達の泣き声だけが響く。

「運が悪かった、みたいな顔をしているね。違うなあ、必然だよ。 
ゆっくりが飼いたければ、みんなゆっくりショップに行くさ。 
格安の銅バッジなら小学生のお小遣いでも飼えるくらいなのに、なにも汚い野良に触ろうとする人はいないよ。 
拾うとしたら、ゆっくりは使い捨てぐらいにしか考えていない………そう、僕のような虐待お兄さんしかいないってことだ。 
あんなところで飼ってくださいとわめき散らす時点で、駆除されるか、拾われて虐待されるかの二択しかない。 
ゆっくり理解できたかな?」 
「ゆ……ゆぐじでえええ!!おぢびぢゃんいじべだいでええええぇぇ!!」 
「ありずだぢはどうなっでもいいでずっ!! 
おぢびぢゃんだげはっ!!おぢびぢゃんだげはあああああぁぁ!!!」 
「それだ!!」

突然片膝を立てて身を起こし、お兄さんはおちびちゃん達を指さして言った。

「そこなんだよ。そう、おちびちゃんは君たちの言うとおりとってもゆっくりしている。 
どんなゆっくりも笑顔でしばき倒す僕だが、このとっても可愛くてゆっくりしたおちびちゃんだけには、 
とても虐めるなんてひどいことをする気にはなれないんだ。なんてゆっくりしたおちびちゃん達だろう!!」 
「ゆ゛っ!!ぞうだよっ!!がわいいおぢびぢゃんにぞんなごどじぢゃいげないんだよおぉ!!」 
「そうよっ!!そうなのよぉ!!おにいさん、とかいはよおおぉ!!」 
「だから、僕は天地神明に誓って言うよ。 
おちびちゃんには決して手を出さない。決して、決して痛い思いも、苦しい思いもさせない。存分にゆっくりさせよう。 
その代わり………君達を虐めるよ!」

バシィン!!

「「ゆっぎょおおおぉ!!」」 
「君達を叩いているこの棒は、『ゆ叩き』と言ってね。 
内部に損傷を与えず、表面の皮膚だけに効率よく痛みを加えられるように設計された幅広の道具だ。 
某格闘漫画にも描写されるように、皮膚の痛みはどれだけ鍛えても軽減できるものじゃない。 
まして相手がゆっくりとなればなおさらだな。 
本来は躾けのために販売される道具だが、素人でもゆっくりを壊さずに存分に痛めつけやすいということで、 
虐待嗜好の客にも愛好されているロングセラーさ」

そう言いながら、お兄さんは右手にゆ叩きを握り、残った左手でゆっくりフードの箱を掴んで立ちあがる。 
柵のそばまで歩いていくと、箱を傾け、柵の向こう側に少量のゆっくりフードをじゃらっと撒いた。

「さあ、可愛い可愛いおちびちゃん達。ごはんを食べてゆっくりしておいで」 
「ゆっ!!ごひゃんしゃん!!」 
「ときゃいは!!ときゃいは!!らんちしゃん!!ときゃいは!!」

じたじたと泣き喚いていたおちびちゃん達が、床に散らばったフードの粒に這い寄ってむーちゃむーちゃと咀嚼しはじめる。

「ゆ、ゆうぅ………」 
「おちびちゃん………とかいは、よ………」

痛みに涙を流しながらも、子供たちの姿を見てれいむ達は安堵する。 
しかし、撒かれたフードは十個もなく、あっという間に食べ尽くした子供たちはすぐにむずがりだした。

「もっちょ!!もっちょ!!もっちょたべりゅううぅぅ!!もっちょちょうだいいいぃ!!」 
「たべちゃいたべちゃいたべちゃいたべちゃいもっちょたべちゃいいいぃぃ!!」 
「ゆ、ゆううぅ………!お、おにいさん、もっとごはんさんを………」 
「おにい、さ………」 
「だいたいの雰囲気は伝わってるだろう? 
そう、僕に虐められるのが君達の仕事だ。そして、僕に虐められるたびに、おちびちゃん達にご飯をあげよう。 
おちびちゃん達をゆっくりさせてあげたいなら…………そういう事だ。わかったかな?」

ヒュン、とゆ叩きが風を切る。 
びくり、と身をすくませ、カチカチと歯を噛みならすれいむ達。

「おや、返事が聞こえないな? 
そんなに叩かれるのが嫌なら、僕はやめてもいいんだよ。 
でも、それじゃおちびちゃんはお腹を空かせてしまうねえ」 
「や……や、や、やるわあぁ!!」 
「ゆ……れ、れいぶもがんばるよおおぉ!!がんばっで、いじべられるよおおぉぉ!!」 
「ほほう」 
「やくっそくっをわすれないでねっ!! 
おにいさんはゆっくりできないけど、おちびちゃんだけはぜったいにぜったいにゆっくりさせてねっ!!」 
「そうよっ!!いなかもののいじめなんかにはぜったいにまけないわっ!! 
おちびちゃんのためならたえぬいてみせるわあぁ!!」 
「そうだ!その言葉が聞きたかった。君達は素晴らしい。 
お兄さんは嬉しいよ、それでは早速………ゆっくりさせてもらおうッ!」

バシッ、バシィン!!

「ゆぎいぃッ!!」 
「あびゃあぁ!!?」

れいむとありすの身体にゆ叩きが叩きつけられる。 
ひと叩きごとにお兄さんはフードの箱を傾け、おちびちゃん達の周りにフードを少しずつばら撒いていった。

「ゆっ!!むーちゃ、むーちゃ!!」 
「ときゃいは!!むーちゃむーちゃ!!はぐっ、がつがつっ!!」

ばら撒かれるたびにあちこち這いずってゆっくりフードをかき集め、尻を振りながら一心不乱に貪るおちびちゃん達。 
その姿を見つめながら、れいむ達はゆ叩きの打擲に必死に耐え続けていた。 
痛みのあまりにぷしゃっ、としーしーが漏れ出し、ありすが羞恥に頬を赤らめる。

「ふう、だいぶん叩いたな。 
お兄さんはそろそろすっきりしてきたからもうやめてもいいんだけど……」

汗をぬぐいながら漏らしたお兄さんの言葉に、れいむとありすは安堵する。 
しかしすぐにおちびちゃん達の泣き声が響き渡った。

「もっちょもっちょもっちょもっちょ!!もっちょちょうだああああいいいいぃぃぃ!!」 
「おにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃああぁぁ!!」 
「「…………!!」」 
「おやおや、ずいぶん食べざかりなんだな。 
ゆっくりしたおちびちゃんだから人一倍、おっと、ゆっくり一倍食べるのも無理はないな! 
僕も疲れてるんだけど、おちびちゃんがゆっくりするためには……君達が仕事しないとねえ?」 
「ゆっ………ひっ……!!」 
「そぅれ!!」

バシィン!!


「「ゆ゛びい゛………ゆ゛びい゛………」」

全身を赤く腫らし、息も絶え絶えで横たわるれいむとありす。 
ついにうんうんまで漏らしてしまい、ありすは髪で顔を覆って嗚咽している。

その段階でようやくおちびちゃん達は満足し、げふうとゲップを吐いてうんうんをひり出していた。

「おやおや、このぶんじゃトイレを置いても無意味かな? 
フローリングだから問題ないさ、しーしーとうんうんはサービスで片付けてあげよう」

ゆぴぃゆぴぃと眠る子ゆっくり達を部屋の隅の小さなクッションに載せてから、 
お兄さんが雑巾とティッシュで糞便を始末する。 
親の糞便まで片付けてからふうっと息をつき、お兄さんは満面の笑顔でれいむ達に言った。

「いやあ、とっても充実した時間をありがとう! 
おちびちゃん達はかわいいし、君達を虐めてゆっくりできたし。 
今日は夜遅いからこのままお休み。 
明日から、ご飯の時間のたびにゆっくりさせてもらうよ」

突っ伏したまま聞いていたれいむ達が、「ご飯の時間のたびに」と聞いてびくんと震えた。

「おっと、忘れていた。君達のご飯だ」

ばらばらとれいむ達の周りにゆっくりフードをばら撒いていくと、お兄さんは部屋から出ていった。 
それでも食欲はすぐには戻ってこず、れいむとありすは長い間そのまま泣きじゃくり続けていた。


――――――――


「ぺーろ、ぺーろ……」 
「おちびちゃん、ゆっくりしてねぇ………」 
「ゆーん、ぺーりょぺーりょ!!」 
「ゆきゃっゆきゃっ!!ときゃいは!!ときゃいは!!」

柵の格子ごしに舌を長く伸ばし、おちびちゃん達の身体をぺーろぺーろと舐める。 
ぺーろぺーろはできたが、すーりすーりができないのがもどかしい。 
眠りから覚めたおちびちゃん達は、あちこち興味深げに見回していたが、 
すぐにれいむ達とのスキンシップを望んで柵に這い寄ってきた。

とんだことになってしまった。 
プライドを捨てて道端で飼ってくれと懇願した結果が、虐待人間に掴まったとは。 
この先のことを思うと、れいむとありすは絶望的な気分になる。

しかし、一つだけ喜ばしいことがあった。 
それは、おちびちゃん達が喜んでいるということだった。 
本当に久しぶりの、お腹一杯のごはんさん。 
久しぶりに見るおちびちゃんの笑顔に、れいむ達は本当にゆっくりできていた。

おちびちゃんには手を出さない。 
一番肝心なそのことを、お兄さんは約束してくれていた。 
それなら、お母さんたちは耐えよう。おちびちゃんのために耐えよう。 
おちびちゃんがゆっくりするためなら、お母さんたちはどんなことだって耐えられるんだから。

「ゆーっ!!おきゃーしゃん!!しゅーりしゅーりちてぇぇ!!」 
「しゅーりしゅーり!!しゅーりしゅーりいぃ!!」 
「ゆゆっ、だめなんだよ、おちびちゃん……」 
「ままもすーりすーりしたいけど、とどかないのよおおぉ……」

と、子供たちがすーりすーりを望んでいた。 
すーりすーりは家族みんなが大好きなスキンシップである。 
そうしたいのは山々ながら、残酷な柵の格子がそれを許さなかった。

互いに格子に身体を擦りつけるが、厚みのある柵に遮られて親子の体は触れ合えない。 
子供たちが泣き喚きはじめたところに、ドアを開けてお兄さんがやってきた。

「おやおや、どうしたんだい」 
「おにいさんっ!!すーりすーりさせてちょうだい!!」 
「とどかないんだよおぉ!!おちびちゃんとすーりすーりしたいよおおぉ!!」 
「おっといけない。今させてあげよう」

そう言い、お兄さんは両親のほうを両手で抱え、柵を乗り越えておちびちゃんの側に置いてくれた。

「ゆーっ!!しゅーりしゅーり!!おきゃーしゃんのおひゃだ、ゆっくちー!!」 
「ゆうううぅぅ!!しゅーりしゅーり!!おちびちゃんしゅーりしゅーりいいぃぃ!!」 
「とかいはっ!!おちびちゃんのおはだもとかいはよおおおぉ!!」 
「ゆっくちー!!ときゃいは!!」

体中をすりすりと押し付けあいながら喜ぶ団欒を、お兄さんはにこにこと眺めていた。


やがて、子供たちがむずがりはじめた。

「ゆーっ!!おにゃかしゅいちゃ!!」 
「ごひゃんしゃんたべちゃい!!」 
「「ゆっ………」」

びくり、と両親の体が強張る。 
聞きつけたお兄さんが身を起こした。

「おや、そろそろお仕事の時間かな?」 
「「……ゆぅ…………」」 
「さあ、お母さんたちはこっちに戻ろうね。おちびちゃんの傍でやったら危ないだろ?」

お兄さんが再び、柵の向こう側に両親を置く。 
その後一旦廊下に戻ってから、両手にそれぞれ荷物を持って再び現れた。

「今日のご飯さんはこれ。ゆっくりできるクッキーさんだ。あまあまだよ」 
「「ゆゆっ………!!」」

クッキーさん。 
かつてお姉さんの家に飼われていたときでも、それほど高い頻度で食べられるものではなかった。 
飼いゆっくりの舌が肥えて高価なフードしか受け付けられなくなるのを恐れ、 
お姉さんは味の薄い健康志向のゆっくりフードばかりを与えていた。 
クッキーのようなゆっくりできるあまあまは、 
お姉さんの機嫌がいい時に振舞われたり、言うことをよく聞いたごほうびで与えられるもので、時たまの楽しみだった。 
ことに勝手におちびちゃんを作って以降は、お姉さんはあまあまなどくれたことがなかった。

舌が肥えすぎた飼いゆっくりが捨てられて野良になり、生ゴミや木の実を食べられずに死ぬケースは多いが、 
れいむ達がそうならずに野良生活に適応できたのも、そうした食生活の下地があったおかげだった。

おちびちゃんを作って以来、久しぶりに食べられるあまあまさん。 
特におちびちゃんにとっては初めてのあまあまさんになる。 
れいむとありすは顔をほころばせ、 
おちびちゃんにあまあまを与えられるならと、ゆっくりできない仕事をむしろ喜びはじめていた。

「ゆっ!!おちびちゃんっ!!あまあまさんだよっ!!」 
「ゆっ!?あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ゆっくちーっ!!」 
「ときゃいは!!あみゃあみゃたべちゃい!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 
「ままたちががんばってたべさせてあげるからね!!とかいはなあまあまでゆっくりしてね!!」 
「おやおや、盛り上がってるようだね。 
見てのとおり、ゆっくりしたおちびちゃん達のためにご飯さんをグレードアップさせたよ。 
そして当然……虐待も、グレードアップだ」 
「「ゆゆっ?」」

じゃらり。 
れいむ達の前に、金色に光る小さな、なんとなくゆっくりできない形状のものが散らばった。

「ゆ………これって………」 
「画鋲さんだよ。まずはお試しだ」

そう言い、お兄さんは一枚のクッキーを二つに割り、おちびちゃんの口に一つずつ運んだ。

「ゆっ!!ゆっくちちょうだいにぇ!!」 
「ゆっくちたべりゅよっ!!」

即座にかぶりつくおちびちゃん。 
直後、くわっと目を見開き、ぷるぷるぷると震え出す。まむまむからはしーしーがぷしっと漏れ出した。

「「ち、ち、ち、ち、ち………ちちちちちちちちあわしぇえええぇぇぇ~~~~~~~~~!!!!」」

生まれて初めて口にするあまあまに、おちびちゃん達はうれし涙とうれしーしーを吹き出し、 
全身をのーびのーびさせて歓喜の叫びを吐いた。

「ゆっ、おちびちゃあああぁぁん………」 
「よかったわねぇ………ほんとうによかったわああぁぁ……」

れいむとありすの方も嬉し涙を流していた。 
おちびちゃん達の喜ぶ姿以上にゆっくりできるものはない。

「さあ、こっちもお試しだよ」

おちびちゃん達の方を見つめて震えているれいむとありすの頬に、鋭利な痛みが走る。

「「ゆぎゅっ!!!?」」

二人は飛び上がった。 
自然界にはなかった痛み。頬を貫き、餡子を刺激する鋭く暴力的な感触に意識が熱を帯びる。

「ゆぎいいぃぃっ!!?いだいっ!!いだいいだいいだいいぃ!!」 
「どっでっ!!どっでぇ!!ごれどっでええぇぇ!!いだいわあああぁぁ!!」 
「オーケー、お試しだからね」

お兄さんはすぐに、れいむ達の頬に突き刺していたそれ――画鋲を取り除いてくれた。 
激痛を伴う異物感が取り除かれ、二匹は大きい息をつく。

「ゆっ……おにいざんっ、いだずぎるよおおぉぉ!!」 
「きのうとぎゃくったいっがちがうでしょおおぉ!!?」 
「別に虐待方法を限定してはいないさ。 
より痛いのも当然だよ、よりおいしいあまあまになったんだからね。 
うん、別に昨日の虐待に戻してもいいんだけど、ごはんさんも昨日の味気ないフードに戻ることになるよ?」 
「ゆっ………!!」 
「そんなっ…………!!」 
「どちらがいいか、おちびちゃんに決めてもらおう」

おちびちゃんの前に、ゆっくりフードの粒とクッキーの欠片を置いて、お兄さんが尋ねる。

「さあ、どっちがいいかな?」 
「はぐっはぐっ!!はぐっ!!」 
「むーちゃっ!!むーちゃあぁ!!」

即座に食べ尽くしてしまうおちびちゃん達。すぐに叫んだ。

「たりにゃいよおおぉ!!もっちょ!!もっちょちょうだいいぃ!!」 
「あみゃあみゃたべちゃいいいぃい!!」 
「うん、どっちをもっと食べたい?」

床に置いたら食べられてしまうので、両手にフードとクッキーを持って再び尋ねるお兄さん。

「「きょっち!!!」」

舌と身体を目一杯伸ばして、おちびちゃん達はクッキーを指し示した。

「……と、いうことだ、れいむちゃんにありすちゃん。 
おちびちゃんは、〝画鋲〟を選んだよ」 
「「………!!」」

あの鋭利な痛みを思い起こし、二人はぶるぶると震える。 
しかし、勇を奮い起こし、れいむが叫んだ。

「ゆ、れ、れ………れいむはやるよっ!!がんばるよおぉ!!」 
「!!…………そ、そうよ!!かわいいおちびちゃんのためだものっ!!ありすもがんばるわ!!」 
「素晴らしい。君達は実に素晴らしい!その意思の強さはゆっくりしているよ! 
ただ一応念を押しておくけど………決めるのはおちびちゃん、だからね。君達じゃないんだ。 
まあいいさ、じゃあ……お仕事を始めようか!」

放り出されたクッキーにおちびちゃん達がかぶり付き、 
それを確認して、お兄さんは画鋲を一個ずつれいむとありすの頬に突き刺した。

「ゆっぎゃあああああぁぁぁ!!」 
「いだっ!!いだっいだいだいだああああぁぁいいいぃ!!」 
「はっはっは、いい声だ!ゆっくりできる悲鳴だよ! 
おちびちゃん達が食べるごとに一個ずつ、君達の体に画鋲を突き刺していくとしよう。 
そうだな、れいむのおちびちゃんが食べればれいむに、ありすのおちびちゃんが食べればありすに刺そう。 
おちびちゃんがもういらないと言えばそこで虐待も終わりだ。さあ、何個刺せるかな?」

「「むーちゃむーちゃむーちゃ!!うっみぇ!!まっじぱにぇぇ!!ちちちちちあわしぇ~~~~~!!! 
ちょうだい!!ちょうだい!!ちょうだいにぇ!!もっちょもっちょちょうだいぃ!!」」 
「「ゆぎゃあああああああいだあああああああゆっぐじでぎだいいいいいいいぃぃぃ!!!」」

全く性質を異にした二種類の叫び声が、部屋中に長々と木霊しつづけた。


おちびちゃん達の身体が元の二倍近くにふくれ上がった頃に、ようやく催促の声はやみ、 
二匹はゲップをして身を横たえた。

「ゆっぷううぅぅ~~~~……とっちぇもゆっくちしちゃあみゃあみゃしゃんだっちゃよ!!」 
「ときゃいは!!うんうんちゅっきり~~~~!!」

恒例の食後のうんうんをするおちびちゃん達を見つめながら、れいむ達は精根尽き果てた表情でぐったりとうなだれた。

「ゆ゛………あ゛………お、おぢび……ぢゃ……………」 
「いぢゃ……いぢゃいわあぁぁ………どっで、ごれ………どっでえええぇ…………」

二人の全身には何十個もの画鋲が突き刺さっている。 
短い針は身体に深刻な損傷を与えることはないが、それでも全身を苛む激痛は耐え難い。 
ほんの少し身じろぎするだけでも、突き刺さった無数の針が体内の餡子を引っ掻き、気が狂いそうな痛みを引き起こす。

「いやあ、予想以上に長かったね。おやおや、おちびちゃん達はおねむかい? 
さて、君たち親にもご飯をやらなきゃならないが、君たちのご飯はこれだ」

そう言いながら、お兄さんは味気ないゆっくりフードを二人の前にばら撒く。

「ゆ゛っ……くっきー、さん……」 
「おいおい、君たちがゆっくりしちゃあ虐待にならないだろう。 
虐待お兄さんの中にはうんうんを食べさせるやつもいるんだから、僕はやさしい方だよ?」

前回と同じく、おちびちゃん達のうんうんを掃除してから、 
帰り際にお兄さんはれいむ達に言った。

「さて、画鋲は次のお仕事まで取らないでおくよ。 
おちびちゃんのお腹の中のクッキーが全部消化された頃に取るのが筋ってものさ。じゃあ、次はお昼にね!」 
「ゆ゛っ!!まっでっ!!ぢぐぢぐざんどっでええぇぇ!!」 
「おでがいっ!!おでがいよおおぉぉ!!ゆっぐじでぎないわああぁ!!」

れいむ達が必死に引き止めたが、お兄さんはにこにこと笑いながら部屋を出ていってしまう。

「ゆ゛ぐっ………ゆ゛ぐっ…………」 
「どぼじで…………どぼじでごんなごどに…………」

食事をかき集めるにも、わずかでも動けば画鋲が身体を責め苛む。 
大量の涙を流しながら、やはり二人はただ泣きじゃくるしかなかった。

「ゆぴぃ………ゆぴぃ………」 
「ゆぴぃ……ゆぷっ………あみゃあみゃ………ぴぃ」

ふと、柵の向こうのおちびちゃんを見やる。 
なすび型に下膨れに大きくなって上下する腹をもみあげで抱えながら、 
涎を垂らし、おちびちゃん達は幸せそうに眠っていた。

そうだ。 
おちびちゃんはこんなにゆっくりしている。 
自分達がお母さんなんだ、どんな目に遭おうとも、自分たちがおちびちゃんをゆっくりさせなければいけないんだ。 
れいむとありすは唇を引き絞り、激痛の中で意志を新たにした。

れいむ達は自覚していない。 
今、「おちびちゃんがゆっくりすれば自分たちもゆっくりできる」から、 
「おちびちゃんはゆっくりさせなければいけない」に意識が変質していることを。


――――――――


「やあ、お昼のむーしゃむーしゃの時間だよ!」 
「ゆゆっ!!ごひゃんしゃん!!」 
「あみゃあみゃしゃんちょうだい!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 
「「ゆ゛っ………」」

お兄さんが現れた。 
眠りから起きて「しゅーりしゅーりちてぇ!!」と柵の向こうで泣き喚いていたおちびちゃん達が、 
お兄さんの登場にぱぁっと顔を輝かせてずりずりと這い寄る。 
親のれいむとありすは画鋲の痛みに動くこともできず、やはりお兄さんが現れるのを待ちわびていた。

「おにいざん……ごれ、どっでぇぇ……」 
「おっといけない。まずは約束通りそれを取ってあげるよ」

お兄さんはれいむ達の前に屈み込み、一本ずつ画鋲を丁寧に取り除きはじめた。

「ゆ゛っ……!いぢっ……!びぃ!」 
「ほらほら、我慢してくれよ。このままじゃ虐待もできないしね」 
「ゆーっ!!おにいちゃん!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃちょうだいいぃ!!」 
「おにゃかしゅいちゃよおぉ!!あみゃあみゃ!!はやきゅううう!!」

両親の画鋲を取り除いているお兄さんにぐいぐいと身体を押し付けてむずがるおちびちゃん達。

「おいおい、待ってくれよ………よし、取り除けた」

仕上げにオレンジジュースを染み込ませた脱脂綿でお兄さんが身体を拭くと、 
高速度で無数の小さな傷口がふさがってゆき、れいむとありすの身体は元通りになる。

「さあ、準備オッケー。 
じゃ、お昼のごはんと虐待といこうか!!」 
「「ゆひいっ………!!」」 
「お昼もおちびちゃんに選んでもらおうね。持ってきたのはこれさ」

お兄さんが持ってきたのは、やはりゆっくりフードにゆ叩きのセット。 
そしてクッキーに画鋲のセットだった。 
それぞれが盆に載せられ、おちびちゃんの前に並べられる。

れいむとありすは震え上がった。 
ようやく何時間もの画鋲の痛みから解放されたのに、また刺されるかと思うと気が狂いそうだった。 
思わず、れいむの口から言葉が漏れた。

「ゆ゛っ………ね、ねえ、おちびちゃ、ん………」 
「ゆーっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 
「ちゃべりゅ!!あみゃあみゃちゃべりゅ!!」 
「…………!!」

おちびちゃんはといえば、やはり一心不乱にクッキーの載った盆に向かおうとしている。 
れいむとありすは焦り、柵の向こう側の子供に必死に声をあげた。

「ま、まってっ!!おちびちゃん、ままのおはなしをきいてぇ!!」 
「だめっ、だめなんだよぉぉ!!おちびちゃんっ!!おかあさん、げんっかいなんだよおぉ!! 
ねぇっ、がまんしないっ!?つぎ!!あまあまさんはまたつぎのごはんさんにっ、ゆああぁぁまってええぇぇ!!」 
「「あみゃあみゃ!!ゆーっ!!あみゃあみゃちゃべりゅー!!」」 
「ちょっと待ってくれよ、おちびちゃん」

全く話を聞かずにクッキーの盆に這い寄るおちびちゃん達を、お兄さんが手で遮る。 
れいむとありすはほぅ……と胸を撫で下ろした。

「ゆーっ!!ゆあーっ!!にゃんでじゃまちゅるにょおおぉぉ!!ぷきゅーっ!!」 
「たべちゃい!!たべちゃい!!たべちゃいたべちゃいたべちゃいたべちゃいいぃぃ!!」 
「まだ選んでねとは言っていないよ。まだ全部出してないんだからね」

そう言い、お兄さんは背中に隠していた盆をおちびちゃんの前に出した。

「今回からはこれも選択肢に追加するよ。おちびちゃん達にもっと喜んでほしいからね!」

新しい盆の上に載っていたのは、一口大のチョコレートの山だった。 
そしてその隣に、金槌が置いてあった。

「前回と同じく、まずはお試しだ。おちびちゃんはどんな味か知らないだろうからね。 
どうぞ、食べ比べてから決めてくれ」

フードとクッキーとチョコレートを一口ぶんずつ目の前に置かれ、おちびちゃんが殺到する。 
目の前から順にかぶりつき、チョコレートを口に入れた段階でおちびちゃんが動きを止めた。

「ちちちちちちちちちちちちちちちあわしぇええええええええ~~~~~~~~~!!!!(プシャアッ)」

失禁するおちびちゃんを見届け、金槌を手にしたお兄さんがれいむ達の前に立ちはだかる。

「さあ、こちらもお試しだ」

呆然と見ていたれいむのあんよをめがけて、お兄さんは金槌を振り下ろした。

ガン!

「!!!?」

声にならなかった。 
丁度斜め上から叩き潰すように、お兄さんの金槌はれいむの底部の端を打っていた。 
部分的にひしゃげた底部は床に引き伸ばされ、金槌の打撃面の八角形の跡がくっきりと残っている。

「………!!かはっ、ひっ………!?がっ………!!?」 
「れ………れいむぅ!!れいむうぅぅ!!?」

叫び声も上げられないほどの激痛。 
れいむはぶるぶる震え、食いしばった歯の隙間からひゅうひゅうと息を漏らす。

「どうだい、これがあのあまあまに見合った虐待さ。 
チョコレートさん一個につき、この金槌を一発お見舞いしてあげるよ」 
「ゆ゛、っ………じんじゃうでじょおおおお!!?」

ようやく口がきけるようになった、と言うより聞いた言葉の衝撃に一瞬痛みを忘れたれいむが目を見開いて絶叫する。 
これほどの激痛と破壊が、おちびちゃんが一個食べるごとに自分たちの体に与えられる。 
おちびちゃんがどれだけ食べるかはわかりきっていた。

「いやいや、僕は手慣れている。殺さないように虐待するのもお手のものさ。 
そう、殺さない。絶対に、何があろうと………殺してあげない☆」 
「む゛り゛っ!!む゛り゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!ふーどざんにじでえええぇぇ!!」 
「こらこら、そうじゃないだろ。選ぶのは……おちびちゃん達なんだからさ!」

そう言い、お兄さんはチョコレートとクッキーとフードを一つずつおちびちゃん達の前に並べる。

「ゆー!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ちゃべりゅ!!あみゃあみゃ~~!!」 
「ま゛……まっで!!まっでまっでまっでえぇぇ!!おぢびぢゃんどおばなじをざぜでええぇぇ!!」 
「さあ、食べたいものを選んでくれ!」 
「「おぢびぢゃああああああああああん!!!」」 
「「あみゃあみゃぁ~~~~~!!」」

おちびちゃん達は、一直線にチョコレートにかぶりついた。