ガン!ガン!

「ごっ………ばぁっ!!」 
「っっ………ぢいいぃぃ~~~~!!」

れいむとありすの身体が、次々と金槌の打撃を受ける。 
これまでとは比べ物にならない硬質のダメージが二匹を蹂躙する。

饅頭というものはもともとそう固くはない菓子だが、 
激しく中身を流動させて運動する以上、ゆっくりは実際の饅頭よりもさらに柔らかい。 



金槌を叩きこんでも、人間が想像するほどにはダメージはない。 
痛みに弱い性質を加味すれば、その苦痛の度合いはプラスマイナスゼロとは言ってもいいかもしれない。 
お兄さんも、戯れに頭や頬に何発か叩きこんでいるが、 
潰さないように手加減を加えていることもあり、大袈裟に泣き喚くものの、ぶにょぶにょと形を歪ませるだけだ。

ゆっくり相手に効率よく金槌を使うには、「地面と挟みこむ」のが有効である。 
人間と同じく、ゆっくりの皮は末端部分のほうがより敏感だ。 
あんよの端を金槌と床の間にはさみ込むように打ちこめば、より大きな苦痛を与えられる。 
上から皮を押しつぶし、微量の餡子を挟んで底面の皮にも衝撃を与え、より広い面積の皮に痛みを与える。 
これも、ゆ叩きと同じく表皮を狙ったテクニックだった。

ガン!

「ぎょっごっ!!」

打たれるたびに、れいむ達はあまりの苦痛にびぃんと身をのけぞらせる。 
底部の打たれた部分がびろびろに伸び、微量の餡子をにじませている。

「おぢびぢゃん!!おぢびぢゃああぁぁん!!おでがい!!おでがいだがらっ、だべるのやべでええぇぇ!!」

苦痛の合間を縫い、もはや恥も外聞もなく、れいむ達は柵の向こうのおちびちゃん達に叫び続ける。

「「ちょーだい!!ちょーだい!!もっちょもっちょちょーだい!!あみゃあみゃちょうだいいいぃぃ!!」」

金槌を打ちこむたびに数個だけ投げ込まれるチョコレートは、一口やそこらですぐにおちびちゃんの腹に消えてしまう。 
飲み込んだはしからお兄さんに向かってぴょんぴょん飛び跳ねながら叫ぶおちびちゃんの視線は、 
母親たちの姿をちらりとも捉えようとすらしなかった。

「おっと、もう次か。いやあ、とってもゆっくりした食べっぷりだね!」

そう言いながらチョコレートの盆を傾けようとするお兄さんに、ありすが必死に懇願する。

「まっで!!まっでまっでまっでえぇぇ!!おぢびぢゃんどおばなじをざぜでええぇぇ!!」 
「なんだい、お仕事中に。 
お話なら仕事が終わったあとでいくらでもできるだろ?」 
「いば!!いばじなぎゃいげないのっ!!じんじゃう!!ありずだぢ、じんじゃうっ!!おでがいだがらああぁぁ!!」 
「おちびちゃんはあまあまでゆっくりするのに忙しいっていうのに、何を話そうというんだい」 
「わがっでないのっ!!おぢびぢゃん!!あばあばだべだら、ままだぢがぎゃぐっだいざれるっでっ!! 
わがっでないの!!だがら、だぐざんだべぢゃうのおおぉぉ!!」 
「へえ。わかってたらやめるはずだって事?」

こくこく頷くありすに、「ふうん」と肩をすくめてお兄さんは答えた。

「じゃあ、特別にお話をさせてあげるよ。僕も気になるしね。 
おちびちゃん達、ちょっといいかい?お母さんのお話を聞いてやってくれないか?」 
「「あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい!!」」 
「うわぁ……ああ、いや、実にゆっくりしてるねぇ。 
ほら、お母さんが何か言ってるよ?」 
「おぢびぢゃんっ!!おでがい!!ままのおはなじをぎぐのよおおぉぉ!!」 
「「あみゃあみゃー!!ゆっくちーっ!!たべりゅー!!」」 
「ほら、聞いてあげようよ」

おちびちゃん達を手で支え、お兄さんは母親の目の前まで運んでくれた。 
もう子ゆっくりとしても大きなおちびちゃん達は、お兄さんの片手に一匹ずつ、危ういバランスでどうにかずしりと収まっている。

「ゆっ?」「ゆぅー?」 
「おぢびぢゃっ!!ぎいでっ!!ぼうだべないでぇぇ!!」 
「ゆー!!おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇないにょ?」 
「ときゃいはじゃにゃいー!!」 
「ええ!!ええっ!!ぞうよ!!ぞうなの!!おぢびぢゃんがだべるど、ままだぢがいじべられぢゃうのっ!!」 
「ゆぅ~?」「にゃんで?」 
「やっぱり全然わかってなかったのか。なんっにも話聞いてないんだなあ。 
いいかい、おちびちゃん達。もう一回説明するから僕の話を聞くんだよ」

お兄さんがおちびちゃんの顔を自分に向けさせる。

「ゆぅぅ~?」「ときゃいは?」 
「いいかい、僕はお母さんたちと約束しているんだ。君達が………」 
「ゆ、にゃんだかちーちーしたきゅなっちぇきちゃよっ!!ちーちーしゅるよっ!!」 
「ゆっ!ときゃいは!!ちーちー!!」

掌の上でしーしーを漏らすおちびちゃん達にお兄さんは顔をしかめたが、 
しーしーが終わるのを待って辛抱強く繰り返した。

「いいかい?君達があまあまを一つ食べるたびに、僕がお母さんをゆっくりできない目に会わせるんだ。 
そのチョコレートさんを一個食べれば、お母さんがこの金槌で一回殴られる。とっ………ても痛い。ゆっくりできないんだよ」 
「「ゆうぅ~~?」」 
「確認しようか。ほら、チョコレートだ」 
「ゆ!!」「あみゃあみゃ!!」

一個ずつ差し出されたチョコレートに、即座に涎まみれの口でむしゃぶりつくおちびちゃん達。 
食べたのを確認し、「もっちょ!!」と叫んでくるおちびちゃん達を手で制すると、お兄さんは金槌を見せつける。

「一個、食べたね?だから、お母さんたちを一回ずつ叩くよ。 
いいかい。君達が食べたから、僕が叩くんだ」

ガン!ガン!

「がっ!!」 
「ぎいぃぃ!!」

伸びきった部分にさらに打撃を加えられ、激痛に七転八倒するれいむとありす。

「見たかい?」 
「ゆーっ?おきゃーしゃん?」 
「ゆっくちできにゃいの?」 
「そうだよ。君達が食べた、僕が叩く。食べる、叩く。いいかい? 
もし食べなければ、僕は叩かない。チョコレート食べない、お母さん叩かれない。わかるかな?」

ジェスチャーを交えながら、お兄さんが何度も根気よく説明する。 
癇癪を起して「あみゃあみゃたべちゃい!!」と叫ぶのをチョコレートを与えてなだめ、その都度親も叩き、 
数回実演されながら十回も説明されたところで、ようやくおちびちゃん達が理解した。

「ゆー?きょれ、たべちゃら、おきゃーしゃんいちゃいいちゃいにゃの?」 
「ときゃいは?ゆっくちできにゃい?」 
「ぞうっ!!ぞうなの!!わがっでぐれだんだねっ!!おぢびぢゃんあじがどおおぉぉ!!」

希望の光が見え、狂ったように何度も頷きながられいむ達は叫んだ。

「おがあざんゆっぐじでぎだいのっ!!」 
「おぢびぢゃんだぢはままどおがあざんがずぎよねっ!!?」 
「ゆー!だいちゅきー!!」 
「みゃみゃ!!ときゃいは!!」 
「ありがどおおおぉ!!おぢびぢゃん!!あじがど!!あじがどおおおおぉぉぉ!!」 
「おぢびぢゃんはやっぱりぜがいいぢゆっぐじじでるわああああぁぁ!!どがいばよおおぉぉ!!」 
「ゆー、ゆっくち!!」 
「ときゃいは!!ときゃいは!!」

褒められたことで嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねるおちびちゃん達。

「んー、ルールも理解できたことだし、もういいかな?」 
「ゆ゛っ………おぢびぢゃんっ!!だがら、もうだべだいでねっ!!」 
「ねっ!!あばあばざんだべるのやべでねっ!!がばんじでねっ!!」 
「ゆぇ?」 
「ゆぅ?」

お兄さんがチョコレートを載せた掌を、おちびちゃん達の前に運ぼうとする。おちびちゃん達の目が輝く。

「「ゆっ!!あみゃあみゃ!!」」

その反応を見た両親は目を見開き、いよいよ焦燥にかられて声を限りに叫んだ。

「やべでっ!!おにいざんやべでっ!!もっどおばなじざぜでぇぇ!!」 
「ゆっ?」「あみゃあみゃしゃん?」 
「おがあざん、じんじゃうのっ!!ごれいじょういだいいだいざれだらじんじゃううぅ!!」 
「だがら、おぢびぢゃんっ!!がばんずるのよっ!!あまあまはだべええええ!!」 
「………あみゃあみゃしゃん、たべちゃ、だみぇにゃの?」 
「ぞう!!ぞうよっ!!ままがゆっぐじでぎないど、おぢびぢゃんもいやでじょう?!」 
「あーあ、おちびちゃんあまあま我慢するのかー。 
それじゃお兄さん、もうお母さんたち叩けないなー」

チョコレートと金槌をそれぞれ持った両手を背中側に引き、お兄さんが残念そうに言う。

「「ゆゆぅぅ…………??」」 
「ゆ゛っ!!ぞうだよっ!!おぢびぢゃんはもうだべないよっ!!」 
「ありずだぢはどっでもながよじがぞぐなのよっ!!もう、ぞんなごどざぜないわっ!!」 
「あみゃ、あみゃ………?」 
「ちゃべられにゃい………?」 
「いやいや、君達が食べたいって言えばすぐに食べられるよ~?」

再びチョコレートを差し出そうとするお兄さんに、涎をたらした顔を輝かせて向き直る。

「!!やべでねっ!!おぢびぢゃん!!がばんじでね!!がばんずるよね!!?」 
「ままだぢがいだいいだいよっ!!ね!!おぢびぢゃん!!いっじょにゆっぐじじばじょう!!」

お兄さんの手が引かれ、恐慌をきたして怒鳴り散らす母親たちにまた向き直る。

何度もあちこち向いているうちに、おちびちゃん達は顔を歪めてぷるぷると震えだした。

「?……おち、びちゃ………?」 
「「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃぁあああああああ!!!!」」 
「「!?」」

おちびちゃん達はその場に転がり、びたんびたんと身体で床を叩きながら泣きわめきだだをこね始めた。

「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃたべちゃいたべちゃいあみゃあみゃたべちゃいたべちゃいいいぃぃ!!」 
「もっちょたべりゅうう!!あみゃあみゃたべりゅうううぅぅぅ!!やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃああ!!」 
「おっ!!おぢびぢゃっ!!?」 
「おぢびぢゃんがたべたら、ままだぢがいじべられるのよおぉ!!?」 
「たべちゃいたべちゃい!!あみゃあみゃたべちゃいいいぃぃ!!」 
「たべられにゃいのいやあああぁぁぁ!!ゆやあああぁだぁぁ!!!」 
「食べたいなら食べていいんだよ?ほぉら」 
「「ゆ!!あみゃあみゃ!!」」 
「だべえええええぇぇ!!だべぢゃだべえええええ!!」 
「いいのっ!!?ままだぢがゆっぐじでぎだぐだっでもいいのっ!!?もういっじょにゆっぐじでぎなぐなるのよっ!!?」

れいむ達の追求に、涎を垂らしていたおちびちゃん達は途端に顔を歪め、すぐにやだやだモードに入った。

「「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃあぁぁぁ!!」」 
「く、くっきーざんっ!!くっきーさんでがまんしましょう!!?ね!!?」 
「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃああぁぁ!!」 
「おがあざんがゆっぐじでぎだぐなるんだよっ!!?おぢびぢゃんはぞれでもいいのっ!!? 
おがあざんをゆっぐじでぎなぐじだいのおおおっ!!?」 
「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃぁぁぁぁ!!!」

何を言っても会話にならなかった。

ルールを理解した今、おちびちゃん達が選んだのは葛藤の拒絶だった。 
チョコレートを食べればゆっくりできる、その代わりにお母さんが叩かれる。 
お母さんが叩かれなければゆっくりできる、その代わりあまあまは食べられない。 
どちらを取っても、何かしらゆっくりできない事になる。どちらも欲しいが、どちらもはありえない。 
そのジレンマ、何かを捨てなければならない葛藤にぶち当たった今、おちびちゃん達はいつも選んでいる選択肢を取った。

『とりあえずゆっくりする、ゆっくりできない事はお母さんに任せる』

お母さんが憎いわけではない。お母さんがゆっくりできなくなることを望んでいるわけでもない。 
ただ、いつものように、お母さんがすべて解決してくれると思っているだけなのだ。

「「………お、ち、び…………ちゃ……………」」

れいむ達が言葉を失い、呆然と佇んでいる隙に、お兄さんが暴れるおちびちゃんの側にチョコレートを置いた。

「「ゆっ!!あみゃあみゃ!!」」 
「さあ、食べたかったらどうぞ」 
「「ゆっくちむーちゃむーちゃしゅるよっ!!!」」




〈 ゆっくちしちぇいっちぇにぇ


  ゆふふ おちびちゃん とってもゆっくりしているよ


  こんなにゆっくりしたおちびちゃんたち きっととかいはなれでぃになれるわ 〉




「ゆぴぃ………ゆぴぃ…………」 
「ゆぅ………ゆぅ……ときゃいは…………」

ぱんぱんになった腹を抱えながら寝息を立てるおちびちゃん達。 
お兄さんはチョコレートで真っ黒になったその体を拭いてやり、食事直後の糞便も処理してやる。

「さて、今回もお仕事お疲れ様」 
「ゆ゛…………ぐ………げ………」 
「………っが……………が………………」

れいむとありすの体はもはや饅頭の体をなしていない。 
あんよ周辺の皮は隙間なく叩きつぶされてスカートのようにびろびろに伸びて広がり、 
ところどころ皮膚が破れてわずかに餡子が漏れていた。 
殴られるうちに歯も大部分が砕けて飛び散り、身体の輪郭がいびつになり、 
苦痛にだらしなく放りだされた舌にも金槌の跡がくっきりついている。

「死んじゃう死んじゃうと言いながら、死ななかったじゃないか。 
僕のテクニックも大したもんだろ?けっこう難しいんだよ、金槌での虐待は」

れいむ達はびくびくと痙攣するばかりで答える余裕もない。

「なあに、この程度で使い捨てるつもりはないよ。治療はしてあげるから安心してくれ」

お兄さんはオレンジジュースをたっぷり染みこませた脱脂綿をれいむ達の下半身に巻きつけ、 
包帯でぐるぐる巻いて固定した。

「これで治るはずさ。 
また晩御飯の時には頼むよ。僕と、可愛いおちびちゃんのゆっくりのためにね!」

れいむ達の側にゆっくりフードをばら撒くと、お兄さんはにこにこと部屋を出ていった。

「……………お゛…………ぢ………………………ぢゃ……」


――――――――


「おちびちゃんきいてるのおおおぉぉ!!?」 
「ゆええええぇぇん!!おきゃーしゃんきょわいいいぃぃ!!」 
「きょわいよおおぉぉ!!ゆびぇえええん!!(プシャァァ)」 
「しーしーしてるばあいじゃないでしょおおぉぉ!!?ままのおはなしをききなさいいぃ!!」

怒声と泣き声が響いている。 
柵にぐいぐいと身体を押しつけながら、れいむとありすは向こう側のおちびちゃんに怒鳴っていた。

「いいっ!?がまんするんだよ!!もうあまあまたべちゃだめだよっ!!」 
「ままたちがいじめられるのよ!?わかってるでしょ!? 
つぎはゆっくりふーどにするのよ!!いいわね!!おへんじしなさいぃ!!」 
「ゆびぇええええん!!ゆっぐじでぎにゃいいいぃぃ!!」 
「ゆぶあああああ!!ゆぎゃあああーーーーっ!!」 
「なきたいのはこっちなんだよおおぉぉ!!はなしをきけばかあああぁぁ!!」

怒りに顔を歪め、がしがしと柵に体当たりをする両親に怯えきったおちびちゃんは、 
部屋の隅に縮こまってひたすら泣き続けていた。

「おいおい、ずいぶん騒がしいじゃないか」 
「「ゆ゛っ………」」 
「「ゆゆっ!!おにいしゃん!!」」

お兄さんがドアを開けて姿を現すと、両親は怯えにびくりと身をすくませ、 
反対におちびちゃん達は笑顔になってお兄さんの方へ這い寄っていった。

「おにーしゃぁん!!おきゃーしゃんがいじめりゅううぅ!!きょわいよおぉ!!」 
「ゆぇええええん!!ゆぇえええええん!!きょわかっちゃぁぁ!!おにーしゃああん!!」 
「おやおや、悪いお母さんたちだな。こんなにゆっくりしたおちびちゃん達をいじめるなんて」 
「「………………………!!!」」

両親は目を見開き、ぎりぎりぎりと歯噛みした。 
あれだけ、毎日あれだけ苦労しておちびちゃんのためだけを思って守り、世話してきた自分たちよりも、 
おちびちゃん達はあまあまをくれるお兄さんのほうをあっさり頼っていた。 
自分たちを可愛がっていた生みの親のれいむ達に、あんなにひどいことをするお兄さんのほうを。

「今日はおちびちゃん達にお土産を持ってきたんだよ」

お兄さんは背中に隠していた物をおちびちゃん達の前に置いた。

「ゆゆっ?あみゃあみゃ………ゆっ?おばしゃん?」 
「ゆゆー!ゆっくち!!ときゃいは!!」

それは、丁度成体サイズのゆっくりれいむを模した人形だった。 
本物に近いすべすべした材質で作られたクッション状の玩具で、 
やや稚拙なつくりながらお飾りもついている。

「本物そっくりだけど、これは人形だよ。君達ならわかるかな?」 
「「…………」」 
「「ゆーっ!ゆっくち!!」」

元飼いで、ペットショップの商品として馴染みがあるれいむ達にはすぐにわかったが、 
おちびちゃん達はあっさり本物だと信じ込んだようで、這い寄ってすーりすーりを始めた。

「きょわかっちゃよおぉ!!しゅーりしゅーりちてえぇ!!」 
「ユックリシテイッテネ!!」 
「ゆーっ!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」 
「しゅーり、しゅーり!!」 
「オチビチャン、スーリ、スーリ」 
「しゅーり、しゅーり!!ゆっくちー!!」 
「ゆっくちー!!」 
「おやおや、すっかりなついてしまったな」 
「「…………!!」」

身体を押されると反応して声を出す仕組みになっているその人形は、 
すっかりおちびちゃんの興を買ったらしく、おちびちゃんは嬉しそうにすーりすーりを繰り返す。 
その様子をれいむとありすは歯軋りして凝視していた。

「今自分がどんな顔してるかわかってるかい?すごい目だぞ」

お兄さんがれいむ達の前に屈みこみ、怯える彼女たちの包帯を取り除く。 
現れた皮膚はすっかり傷口がふさがり、だらだらと延びていた皮もある程度元に戻っていたが、 
それでもひどくでこぼこして不格好な形になってしまっていた。

「おやおや、こんなにでこぼこざらざらして。もう碌にすーりすーりはできないねえ。 
でもおちびちゃん達にはあれがあるから大丈夫さ、そうだろ?」 
「「ゆぐぅぅ……………っ!!」」 
「さあ、お腹もすいたろ。晩御飯にしようか」 
「「!!」」

涙目になって震えるれいむ達の前に、お兄さんはいつものように道具と食事を並べる。

「ゆっくりフードにゆ叩きのセット。 
クッキーに画鋲、チョコレートに金槌……と」 
「「ゆゆっ!!あみゃあみゃあぁ!!」」 
「「おぢびぢゃんっ……!!」」

涎を垂れ流し、チョコレートの載った盆を目指して脇目もふらずに突進するおちびちゃん達。 
あまあまは我慢しろ、フードにしろとれいむ達がさっきまでしつこく言い続けていたのに。

「おっと待った、今回も新しいメニューがあるんだ」

お兄さんがおちびちゃん達を制し、新しい盆を新たに並べた。

お盆の上には、蜂蜜の瓶。 
そして、鋏が載っている。

「さあ、試してみてね」

瓶を開き、蜂蜜を指ですくっておちびちゃん達の前に突き出す。

「「あみゃみゃ!!」」

舌を伸ばしてべろべろと指を舐めるおちびちゃん達は、すぐに身体を硬直させ、 
ぶるぶる震えたあとしーしーを撒き散らしながらびたんびたんと暴れ回った。

「「ちちちちちちちちちちちちちちちちちちちぃぃぃいあわっしぇええええええぇぇぇ~~~~~~~~!!!」」 
「さ、こっちもお試しだ」 
「「ゆひぃっ!!」」 
「大丈夫だよ。今回の虐待は痛くしないから。君達も疲れてるだろうしね」 
「「ゆゆっ………?」」

鋏を握り、れいむ達の前に迫るお兄さん。 
「痛くしない」という言葉に期待をこめてお兄さんの動向を見守る。 
すると、お兄さんがれいむ達の頭に手を伸ばし――

「ゆ゛っ!?ゆ゛あああああおりぼんざんんん!!?」 
「がえじでっ!!がえじでねっ!!ありずのどがいばながぢゅーしゃざんがえじでねっ!!」 
「今回の虐待は、コレさ!」

れいむのリボンとありすのカチューシャを片手でまとめて掴み、 
お兄さんはそのほんの端っこを、チョキンと鋏で切り落としてしまった。 
二人の絶叫が響き渡る。

「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」

ゆっくりにとって、お飾りは命と同等に大事なものと言って過言ではない。 
命よりお飾りが大事というゆっくりはさすがにいないが、お飾りより命が大事と断言できるゆっくりもほとんどいない。 
お飾りを失うことは、お飾りがなければ迫害され、殺されてもおかしくないゆっくりの社会において死と同義である。 
お飾りで個体を識別するゆっくりにとってお飾りの出来は最優先事項と言ってもいいアイデンティティであり、 
それが欠損したり、ましてや失われるという衝撃は、人間が手足を失うショックにも勝る。

そんなお飾りが、たった今、疵物にされたのだ。 
この時点で、ゆっくりとしては負け組が確定したと言ってよかった。 
ゆっくりの社会にあるかぎり、障害ゆっくりとして見下され、憐れまれ、苛められ、 
慈悲のおこぼれや余り物に預かりながらこそこそと生き長らえるゆん生が確定したのだ。

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛でいぶのおりぼんざんがあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 
「どばいばじゃないっ!!どがいばじゃない!!どがいばじゃなああああああゆがあああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 
「ずいぶんな大騒ぎだなあ。ほんのお試しで、チョコっとやっただけじゃないか。 
本番はこれからさ。ねえ、おちびちゃん?」 
「あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 
「ちょうだい!!もっちょちょうだいー!!」

お兄さんの足元にまとわりつき、おちびちゃん達が蜂蜜の瓶を見つめながら舌を伸ばして蠢いている。

「いいかい、君達が蜂蜜を舐めるごとに、お兄さんはほんのちょっぴりずつお母さん達のお飾りを切り刻んでいく。 
なるべく調整して、蜂蜜がなくなると同時にお飾りも全部なくなるペースでいこう。いいね?」

改めて床に蜂蜜と鋏の盆を置き、四つのセットが並べられた。

「「やべでええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」」

れいむ達は絶叫し、懇願した。

「やべでっ!!おぢびぢゃん!!ぞれだげはやべでっ!!おでがいだがらああぁぁ!!」 
「ぐっぎーざんでもいいわっ!!ちょこれーどざんでもいいわ!!いぐらでもたべでいいがらああああ!! 
ぞれだげはっ!!ぞれだげはやべでええええええ゛え゛え゛え゛おでがいい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 
「さあ、おちびちゃん達、選んでくれ。 
どのごはんがいいかな?どの虐待がいいかな?!」 
「「あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ゆっくちーっ!!」」

おちびちゃん達は、一心不乱に蜂蜜の盆を目指して這いずっていた。

やめて。 
お願い。 
許して。 
それだけは。 
それだけは。

涙を流し、身をよじり、柵に体当たりし、絶叫しながら、 
れいむとありすの脳裏には、強い違和感が生まれ始めていた。


なんだ、これは?


とってもゆっくりしたおちびちゃん。 
大好きなおちびちゃん。 
真実のゆっくりを思い出させてくれた、世界一ゆっくりしている、れいむとありすの自慢のおちびちゃん。

二人のおちびちゃんは、見ているだけでゆっくりできる、何よりもゆっくりしている、 
可愛い可愛い、何よりも大切な、愛しい愛しいおちびちゃんだったはずだ。 
そのためにお姉さんを裏切り、群れに迷惑をかけ、次々に味方を失い群れを追われても、 
それでもおちびちゃんさえいれば後悔はない、そういうものだったはずだ。


今、目の前にある、これはなんだ?

母親たちが虐待され、ゆっくりできない目に合わされ、今またお飾りを失おうとしている。 
それだけはやめてくれとの涙ながらの懇願に全く耳を貸さず、興味さえ抱かず、 
食事と虐待の因果関係を理解しながら考慮することなく、ただ目の前のあまあましか目に入らない、 
蛆虫か蛞蝓のように、ぬらぬらと体液の跡を床に残しながら蠕動する、 
涎と涙とうんうんとしーしーまみれの、でっぷりと下膨れに膨れた物体。

これは、一体、なんなんだ?




〈 ゆっ おちびちゃん ままとすーりすーりしましょうね


  しゅーり しゅーり


  ときゃいは ときゃいは ゆっくちー


  ゆゆ~ん すーりすーり おちびちゃんかわいいよぉ てんしさんだよぉぉ 〉




「いやあ、いい食べっぷりだ。それ、じょーきじょーき」 
「「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」

瓶を引き倒され、フローリングの床にぶちまけられた蜂蜜をおちびちゃん達が舐め取るに従い、 
そのペースに合わせてお兄さんがお飾りを少しずつ少しずつ切り刻んでいく。 
柵に遮られ、手出しもできずに、れいむとありすはひたすら泣き喚き絶叫するしかなかった。

「「ぺーりょぺーりょ!!ぺーりょぺーりょ!!ぺーりょぺーりょぺーりょぺーりょぉぉ!!」」

全身を蜂蜜に浸し、おちびちゃんは舌をべろべろべろべろとせわしなく動かして蜂蜜の海の中でのたうち回る。

「やべでっ!!おぢびぢゃんやべでっ!!ぞれいじょうだべだいでえええぇぇぇ!!ごっぢをむげええええ!!」 
「ゆがああああああ!!やべろおおおお!!ままがゆっくりできないでしょうがああああああ!!!」 
「こらこら、やめなよ。おちびちゃん相手に大人げないだろ?」

柵越しに手を伸ばし、れいむとありすの頭をぽんぽんと掌で叩いてお兄さんが言う。

「だばれえええぐぞにんげんんんん!!!」 
「おぢびをどめろおおおおおお!!!」 
「おお、怖い怖い。そんなにカッカしなさんな、子供のすることなんだからしょうがないだろ?」 
「「じょうがだぐだいいいいいい!!!」」 
「しょうがないさ。ゆっくりしたおちびちゃんなんだから。 
だからまりさのおちびちゃんも潰したんだろ?」 
「「ゆ゛っ……………!?」」

意外な話を持ち出され、れいむ達は当惑する。

「昨日いろいろ愚痴ってたけどさ、全部しょうがない話じゃないか。 
バッジ試験に合格できなかったのも、群れのおちびちゃんを潰したのも、小さい子供だからしょうがないんだよな。 
今、お母さんの有難みもわからずにあまあまを貪ってるのも、子供だからしょうがないんだよ。そうだろ? 
大器晩成だから、長い目で見てあげなきゃいけないんだろ?」 
「…………ぞれどごれどはぢがうでじょおおおおお!!?」 
「どう違うんだよ。 
これが普通のおちびちゃんだったらどうだったかな? 
お母さんがゆっくりできなくなるからあまあまを我慢する? 
それともお母さんを見捨てて、罪悪感に苛まれながらあまあまを食べる? 
あのおちびちゃんはすごいよ。なんっにも考えてない。ただ目の前にあまあまがあるから食べる、それだけ。 
お母さんがゆっくりできなくなるとか、そういう面倒なことは考えられないんだ。 
そういう子供に育てたのは君達じゃないのか? 
あれが『真実のゆっくり』とやらなんだろ、ええ?」 
「……………………!!」 
「子まりさを潰して平気なおちびちゃんが、なんで母親を心配すると思ったの? 
それとも、母親だけは心配すると思ったの?だから他に迷惑をかけてもどうでもいいと思ったの? 
でも、母親すら心配しないねえ?なんでだろうねえ?君達、そういう事教えなかったの?他ゆんのこと考えなさいってさ。 
ねえ、君達。一体全体、なにがしたくてあんなおちびちゃんに育てたんだい?」 
「「……………………………………………………………………ゆ…………………………………………………………」」 
「おっと、手が止まってたな。ほーら、じょーきじょーき☆」 
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」




〈 ゆゆっ またそそうしちゃったね おちびちゃんたち


  ゆぴぃ………ゆぴぃ…………


  しゅーや………しゅーや………


  ゆふふ このねがおさんをみれば どんなおせわもゆっくりできるわ 


  おちびちゃんのためなら れいむたちはどんなことでもがんばれるよ 〉




何がしたかったんだろう。 
自分たちは、おちびちゃんに何を求めていたんだろう。




〈 おかあさんのぴこぴこぶらんこさんで おちびちゃんたち ゆっくりしてね


  ゆゆーん ゆーら ゆーら


  ぶーらぶーらしゃん ときゃいは ゆっくちー


  おねえさんとはわかれちゃったけど おちびちゃんたちはとってもゆっくりしてるわ


  のらはたいへんだけど おちびちゃんだけは ぜったいぜったいゆっくりさせるよ 〉




「ぺーりょぺーりょ!!ぺーりょぺーりょぺーりょ!!ゆっくちゆっくちいぃぃ!!べりょりょりょぉぉ!!」 
「あびゃあびゃーっ!!ゆきゃきゃきゃきゃ!!ぺーりょぺーりょときゃいはーっ!!あみゃあみゃぁぁ!!」




〈 ねえ ありす……


  なあに れいむ


  やっぱり おといれさんおぼえさせたほうがいいのかな むれのみんなが ゆっくりできないって


  ゆゆ………


  おちびちゃん このままじゃおともだちもできないよ 


  いいえ あのかんどうをわすれたの? おちびちゃんたちは しんじつのゆっくりをしってるのよ


  ゆ そうだったね……


  おちびちゃんも ありすたちも むれからきらわれてつらいけど……だけどいつか みんな……


  ゆ そうだね みんなきっとわかってくれるよ だってこんなにかわいいおちびちゃんだものね 〉




おちびちゃん。 
れいむ達の、初めての、とってもゆっくりしたおちびちゃん。

おちびちゃんのためなら、鬼にも悪魔にもなろうと思った。 
飼い主のお姉さんに嫌われても、ゆっくりできないゆっくりと呼ばれてもよかった。 
自分たちがどんなに無様に振る舞っても、おちびちゃん達にだけは思うまま、ゆっくりしたゆん生を送ってほしかった。

だって、そうじゃないか。 
人間さんに飼われて、友達も作れず、子供も作れず、あまあまだけを慰めに、窮屈で寂しい一生を終える? 
それとも野良になって、人間や動物に怯えながら、世間から隠れるようにおどおどびくびくと生きる? 
どっちもゆっくりできない。 
一体どんな生き方なら、ゆっくりはゆっくりできるんだろう?

おちびちゃんだけはゆっくりさせたかった。 
何も我慢せず、思うままゆっくりする生き方が、いろんな不都合を呼び込むことはわかっていた。 
そういう不都合は、自分たちが全部かぶろう。 
お母さんたちが四人分がんばっておちびちゃん達を守るから、 
おちびちゃんたちで四人分ゆっくりすればいいんだ。

お母さんたちが頑張れば、おちびちゃんたちが本当にゆっくりしたゆん生を送れるんだ。 
お母さんたちは頑張れる。おちびちゃんならできる。 
こんなにゆっくりしたおちびちゃんなんだもの。


――――――――


「「むーちゃ、むーちゃ!!あみゃあみゃちあわしぇー!!」」 
「ゆ゛ああああああ!!!でぎゃああああああ!!!」

おちびちゃん達が、生クリームたっぷりの高級ロールケーキに舌鼓を打つ。 
一方、れいむの頭部にアイロンが押しつけられていた。

れいむとありすの頭部は、いびつな形と色になっていた。 
アイロンの先端で熱し、髪を溶かしてしまい、そのままさらに熱する。 
溶けた髪は表皮にしみ込んで混ざり、れいむは黒の、ありすは黄色の醜い跡を作った。 
毛をすべて溶かしこまれ、光沢を帯びてでこぼこした頭部はまだらに汚い色彩になった。

れいむとありすの額には、ばらばらに切り刻まれたお飾りの一部が縫い込められていた。 
個体識別の余地を残すためのお兄さんの配慮であったが、 
おちびちゃん達はそんな両親の姿を見て「ゆきゃきゃきゃきゃっ!!」と無邪気に笑った。

「ごぎょおおおおおぼおおおおおごごごごごごっごごご」 
「ゆづづづづづづづううううーーーっぎゅぶうううう゛う゛う゛う゛!!!」

餡子の混じった泡を拭くほどの苦痛に身悶えながら、れいむとありすの意識はお兄さんには向いていない。 
その憎悪も、怨嗟も、別のものに向けられていた。


「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!じねえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 
「おばえらだげゆっぐじずるなああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 
「「おきゃーしゃん、しゅーり♪しゅーり♪ちあわしぇー♪」」 
「ユックリシテイッテネ!!スーリ、スーリ」

子供たちと自分を遮る柵に、ぼろぼろのれいむとありすが憎悪のこもった表情で体当たりを繰り返す。 
がんがんときしむ柵に、最初こそおちびちゃん達は怯えて泣いていたが、 
すぐにお兄さんに与えられたれいむ人形を代わりの母親に見立て、そちらにすーりすーりを繰り返すようになった。 
そうしてゆっくりしている間、柵の向こう側の両親の事はおちびちゃん意識から完全に消えていた。

「じねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛じねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぐぞぢびがあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 
「ごろじでやる!!ごろじでやる!!よぐも!!よぐもよぐもよぐぼおおお゛お゛お゛お゛!!!」

届こうと届くまいと、れいむとありすの憎悪はもはや留まることを知らず、 
人形にすーりすーりをする我が子に殺意と呪詛を吐き散らす。 
『仕事』以外の二人の時間は、もはやすべてそれに充てられていた。 
部屋中に響くその大声は、おちびちゃんたちの耳には一切届いていない。


お兄さんの提示する、れいむ達への虐待とおちびちゃん達への食事は日毎にエスカレートしていった。

「あ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛どごお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 
「あんまり動かないでくれよ。移植できないだろ?」

大口を開けさせられて固定され、 
金槌で砕かれた歯の代わりに、特大のネジを一本ずつねじ込まれた。 
痛覚が集中する歯茎の奥をぐりぐりとえぐられ、れいむの眼球がぐるぐると回転する。 
まばらに生えていた歯の上からも、金槌でネジを打ちこんでから貫通された。 
歯の代わりにネジを生やした二匹は、口を噛み合わせるたびに激痛に苛まれることになった。


じっくり時間をかけて片目をえぐり出された。

「ゆびいいぃぃぃ!!ひいいぃぃぃぃい!!!」

眼窩に指を突っ込んで目玉を固定され、コルク抜きを瞳に突き刺され、ぎりぎりとねじ入れられる。 
眼球を貫通して中の餡子まで蹂躙されたところで、少量の餡子ごと引き抜かれた。 
眼球にこびりつく細い神経のようなものに餡子がからみついている。

「おべべざんっ!!ゆっぐじなおっでねっ!!べーろべー………ぎゃあっ!!」

ぺーろぺーろしようと舌を伸ばしたところで、眼球ごと舌を踏み潰された。


「ゆ゛お゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっごお゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

空洞になった眼窩にお灸を据えられた。 
剥き出しの餡子が高熱で蹂躙され、れいむとありすは限界までのーびのーびしながらぐるんぐるんと身悶えた。 
面白がったお兄さんに、身体のあちこちを小さくえぐり取られ、そこにまたお灸を据えられた。


「ぽきいいいいいいいいぱぴいいいいいいいいいいいここっここここここここあ゛ーーーーーーーっあ゛ーーーーーーーーっ」

濃硫酸を少しずつ垂らされた。 
一滴落ちるごとに皮が煙を上げながらたやすく溶け、体表にぼつぼつと穴が開いた。 
餡子が剥き出しになった穴に酢やラー油や醤油やワサビやカラシなど様々な液体物体を垂らされ、 
それぞれの反応の違いでれいむ達はお兄さんを楽しませた。


この世のものとも思えぬ絶叫を部屋中に響かせる両親の声は、やはりおちびちゃんの耳には入らない。 
シュークリーム、チョコレートパフェ、ホールケーキ、連日出される高級あまあまに、 
おちびちゃんはしーしーとうんうんを漏らしながら舌鼓を打ちのたうち回り、わが世の春を謳歌しつづけた。