ここは、10年前の日本。とある大きな街。外には前もって通達されていた知らせにより、人っ子一人いない。 
その知らせとは「一斉駆除」の知らせ。 
これにより、一般人からの有志以外は、終了の知らせがあるまでは自宅待機というわけだ。 
 
飼いゆっくりも、絶対に外には出さず、出て死んでしまってもそれは飼い主の責任とされる。 
駆除の数日前に行われた有志を募る場では、人々は前々から野良ゆっくりに対して怒りを募らせていたためか、 
予想以上の数が集まり、その場で抽選が行われる事態となってしまった。



そして、満を持して一斉駆除の始まりだ。 
街の端に、ぐるりと街を囲むようにして複数の加工所職員が立っている。 
特殊な香料を使用したお菓子を腰のあたりにつけており、、匂いにつられた野良ゆっくりが 
既にそれぞれの職員の周りに大量に群がっていた。 
そして、一斉に手にした拡声器のスイッチを入れ、思い思いの言葉でゆっくりを挑発し始めた。

「え~ゆっくりできないげすどもは、さっさとしんでね~」 
「にんげんになんかかてるわけないでしょ?ばかなの~?しぬの~?」 
「ゆっくりはばかしかいないよね~なんでそんなにばかなのかな~」 
「ゆっくりをみたらゆっくりできるってばかなの~?ゆっくりのそんざいじたいが 
 すでにぜんぜんゆっくりできないよ~。」 
「ひとりでもにんげんをたおせたらあまあまいっぱいだよ~」

子供でもこんな挑発にのる者はいないだろう。しかし、餡子脳では…

「ゆっがぁあああ!どれいごときがちょうしにのってぇえええ!」 
「どれいごときがれいむにさからうとどうなるか、からだでおしえてあげるよ!」 
「とかいはじゃないげすどれいいぃい!いますぐころすわぁああ!」 
「あたまのよわいどれいがぁああ!ぱちゅにかてるわけないでしょおおお!?」 
「わからない!わからないよー!なんでそんなによわいのにちょうしにのれるんだねー! 
 どれいはいたいめみないとわからないんだねー!わかるよー!」 
「はくろーけんのさびにしてやるみょんんんん!」 
「ゆっぴぃいい!にゃんでしょんなにばきゃなのおお!?りぇいむにかてるわけにゃいでしょお!?」

ものの見事に挑発にのっている。路地裏から、公園から、ありとあらゆる場所から 
怒りに醜く顔をゆがませた野良ゆっくりが現れる。 
ご苦労なことに、どのゆっくりも子供を連れてきていた。赤ゆっくりでさえも。 
どのゆっくりも、赤ゆっくりにも人間を制裁させようとしているのだろう。 
逆を言えば、赤ゆっくりよりも弱いと人間をなめきっているのだ。

「まてぇええ!とまれえええ!くそどれいいいいいいい!」 
「いまならはんっごろしでかんべんしてやるんだぜえええええ!?」 
「わたしたちをほんきでおこらせないうちにないてあやまりなさいいいい!」 
「ぱちゅのさくせんにかかればにんげんなんていちころなのよぉおお!? 
 いままでころさないでおいたおんもわすれてぇええ!」 
「ま、まつんだよー!くそどれい!ちぇんがほんきをだせばすぐにおいつけるけど、 
 ほんきをだすのはめんどくさいんだよー!だからとまれよー!」 
「うごいてたらきれないみょん!このひきょうものぉお!」

ゆっくりはあまりに移動速度が遅いため、普通に歩いていては簡単に引き離してしまう。 
そのため職員は後ろ歩きで、ゆっくりがちゃんとついてきているか確かめながら目的の場所へ進む。 
サザエさんのエンディングを想像していただければわかりやすいかもしれない。 
そしていよいよ到着した。計算された時間通り職員は一人ずつゆっくりを引き連れ中に入る。 
が、最初の職員が中に入ったところで、嬉しい誤算が待っていた。 
奴隷がそこにいっぱいいるということで、職員が連れてきた以外のゆっくりが 
すでに食料などを求めて大挙していたのだ。 
しかし、観客席から投げられた石などにより、すでに何匹かはつぶれているようだ。

ちなみに不幸にも一斉駆除の舞台として餡子まみれになるのはとある球場。 
ここならば、観客席から、また中継などでゆっくりの駆除の様子を見ることができる。 
特に、今回の駆除は実験的なもので、中継により各市町村に駆除の効果を知らせる目的もあったのだ。 
もはや一斉駆除は、ゆっくりによって溜まりきった国民の溜飲を下げる一大イベントだったのだ。

そして、最後の職員がゆっくりを連れ入ってきたところで、ワッと歓声が起きる。 
みなこれから始まる宴を心待ちにしていたのだ。 
どの席のチケットも決して安くはないのだが、それでも満席になっていた。 
グラウンドにはすでに数えきれないほどのゆっくりがひしめきあって喚き散らしている。 
と、ベンチから次々と入場する人々。幸運にも抽選に当選した人だ。 
皆それぞれ加工所製の特殊な服を身に纏い、手には持参したバットやら木刀やらを持っている。 
全員がゆっくりを踏み潰しながらピッチャーマウンドのあたりに集まる。 
喚き散らすゆっくりがうるさいため、マイクを使った加工所所長からのいくつかの注意事項を受けている。 
そして…所長がマイクを口元に持ってゆき…

【大変お待たせいたしました。それでは皆様…ゆっくりしていってね!!!】


「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」


観客と、本能で答えたゆっくり達がハモり、球場が震えたのを皮切りに、ついに開宴の時を迎えた。

「オラオラァ!いままでゆっくりしてたつけだ!ありがたく受け取れっ!」 『グチャグチャァ!』 
「ゆっぎぃいいいだいいい!なんでどれいのくせにこんなにいだいのぉおお!?」 
「ゆっくりは強いんじゃねえのか!?オラッ!」

この男性はバットで手当たり次第にゆっくりを粉砕している

「ヒヒヒィ!たまんねえ!こんなにやつらになんでいままで好きにさせてたんだよ俺は!」 『スパァッ!』 
「かひゅ、かひゅう…ゆひゅりでひないぃい…」 
「た、たまんねええええ!」

こっちでは刃物でゆっくりを両断している

「あー…快感だわ。今までは人の目があったからおおっぴらにできなかったけど… 
 こんなに大勢の前でこんなにたくさん殺せるなんてね!死ねっ!」 『ヒュッ!パァン!』 
「なんなのこれはぁああ!?こんな、こんなことってぇえ!?」 
「ありすぅ?生きたい?生きたい?ダメ!死ねっ!」 『バッチィイン!』

この女性は自作の鞭でゆっくりをいたぶり倒している

「おらよ!その足りない頭でこの帽子を取り戻してみろよ!」 
「むっぎゅううう!どれいのぶんざいでこのけんじゃに『バグッ』…むぎゅ…!」 
「うっひゃあー!手が餡子くっせえ!」

素手でゆっくりを潰すものもいれば…

「自分の尻尾で殺される気分ってどう?ねぇ?ねぇねぇねぇねぇ!?」 『バチィン!』 
「わぎゃらにゃいよぉおおおお!?いだい!ちぇんのしっぽをかえしいだいいい!?」 
「あっはははは!ゆっくりなんて絶滅しちまえ!」

ゆっくりから奪い取ったものを使い駆除している者もいる。

「ほーら…おちびちゃんだよぉ?とりかえさなくていいのぉ?死んじゃうわよぉ?」 
「ゆっぴやぁああん!みゃみゃあああ!たすけちぇえええ!」 
「おちびちゃんをかえせぇこのどれいぃいい!そのあとしねぇえ!」 
「ブブー。ハイだめー。おちびちゃん。永遠にゆっくりしてね!『プチ』 
 はい、ママはちゃんとおちびちゃんをもぐもぐしようねー。」 
「ゆぶぉえええ!おじびじゃんうめぇええ!?」 『ドス』 
「自分の子供食べてうまいとか…引くわぁ~♪」

このようにじっくりと駆除する者もいる。

「はくろーけんもらい~っと!」 『ヒョイ』 
「か、かえすみょん!このひきょうものおお!」 
「言われなくても…返すっての!」 『ザクッ!』

それぞれ駆除の方法は様々であるが、着実に数を減らすゆっくり。 
所長も、人々の溜飲をより下げるために痛めつけながら潰そうとは考えていたが、 
これならば自分たちがするよりもより効果的であったろう、と所長はにんまりしていた。 
イベントは大成功である。 
やがて、数時間もすればようやく力の差を理解したゆっくりたちは、 
許しを請いながら死臭を避けるため隅へと追いやられていた。

「ご、ごめんなさいい…」 
「まりさたちがわるかったです…」 
「とかいはじゃなかったのはあやまるわ…だから…」 
「も、もうぱちゅたちはさからったりしないからぁ…」

こうまで縮み上がったゆっくりにたいし、観客たちの中に可哀そうだから、 
そろそろ見逃してあげて、という声が上がりはじめた。 
これには所長をはじめ職員たちも同意である。 
さんざ駆除したとて、日本中の全てを駆除できるわけではない。 
ならば後は残った個体にプロである職員による体罰を施し、この場にいないゆっくりに 
人間の恐怖を伝える伝道師になってもらうつもりだった。 
しかし、とある女性によりその考えは水泡に帰した。

「…」 『クイクイ』

ジェスチャーでマイクを持って来い、と指示する女性。 
慌ててマイクを持っていく職員。

【あーあー…反省したようね。いいわ、見逃してあげる。】 
【ゆゆうっ!?ほんとう!?】 
【えぇ、本当よ。】

マイクを巧みに自分とれいむの口元に交互にあて、会話がみんなに聞こえるようにする女性。 
このやり取りに、今まで他の駆除当選者や観客は不服顔だが、観客の一部や職員達の顔からは、 
安堵の顔が見て取れる。所長も女性の理解の速さに感心していた。 
だが…女性はとあるまりさの表情の変化を見逃さなかった。 
待ってましたと言わんばかりにまりさの口もとにマイクをあてる。

【ゆへへ…!しょせんはあたまのわるいくそどれい…ちょろいもんなのぜ!】

悲しいかな、考えていることをしゃべってしまう餡子脳。 
それでも、ばれないように小さい声で呟いたつもりだろう。 
しかし、このツイートはマイクを通じて日本全国に届いた。当然、球場の中にも。 
当のまりさは、なぜ自分の声がこんなに大きくなったのかと固まってしまっていた。 
女性の考えに気づき、頭を抱える所長。だが時すでに遅し。そんな様子の所長を見て、ニンマリと笑う女性。 
最初から、一匹たりとも生かして帰すつもりはなかったのだ。

【むぎゅう!まりさあああ!なにいってるのぉお!?ばれちゃだめっていたじゃないの!】 
【そうよこのばかぁ!もうすこしでぱちゅりーのさくせんでどれいをだましてにげられたのにぃ!】 
【おばかなまりさはしねぇえ!】

マイクを巧みに操り、続きのやり取りも逃さずに中継する女性。 
まりさに続き計画を暴露してしまったゆっくり達も、響き渡る自分の声に驚きまりさ同様固まっている。 
このやりとりにより、明らかに球場内の空気が変わった。ゆっくりたちは気づいていないが。 
そして、女性により止めが刺される。

【あらあら…そんなことを考えてたのね…?】 
【ゆ…ゆぅう!ちがうよ!あのぱちゅりーたちだけだよ!】 
【ふぅん…じゃあ最後のチャンスをあげましょう。】 
【ゆ、ゆゅっ!じゃあみんなをにがしてね!いますぐだよ!】 
【この質問に答えたらね…】 
【はやくいってね!そしてにがしてね!】 
【じゃあ聞くけどれいむ…あなたたちは、どうしてこんな目に合っているの?】 
【ゆゅっ!?】

ゆっくりの謝罪は鳴き声。10年前はまだあまり知られていない事実であった。 
だからこそ、観客の中からゆっくりを憐れむ者が現れたのである。 
万が一れいむが答えたら逃げられるのではあるが、この場にいる時点でこのれいむが 
理由を理解しておらず、質問に答えられないことは明白である。 
理由を理解できたり、人間との力の差を理解できるようなごくわずかな賢い個体は、 
最初の時点で挑発にのらなかったのだ。

【ゆぅう…】 
【わからないのかしら…】 
【ゆぅ…ゆんっ!わかるもなにも、れいむたちはなにもわるいことなんてしてないよ! 
 れいむがかわいいからってどれいはむだなじかんかせぎはやめてね!ぷっくー!】 
【ふふ…皆様。この様にゆっくりの謝罪は鳴き声と一緒です。騙されないで下さいね。】

これが決定打となった。本性を現したれいむの発言により、再び会場はヒートアップする。 
これには流石にゆっくり達も異常事態に気づかざるを得ない。 
ちなみにこの時の女性の発言で、ゆっくりの謝罪は大抵鳴き声であると広く世に知れ渡ることとなった。

【それじゃあ…全部この場で殺してあげるっ!】

女性の声に応えるように湧き上がる球場。所長はすでにあきらめていた。 
ここまでヒートアップすれば収拾はつかない。 
ここまでゆっくりに通じている一般人が、ましてや駆除に当選するなど所長は想像だにしていなかった。

【これが何かわかるかしら?】 『ヒュンヒュン』

そうゆっくり達に向かって言いながら、自作の鞭を振り回す女性。マイクは手放さない。 
この場の主役は完全にこの女性になってしまった。 
ゆっくり達はその鞭の放つどす黒いオーラに一様におもらししている。

【わからないみたい…ねっ!】 『バチバチバチィン!』

ゆっくり達の目の前の土を跳ね上げるようにして鞭をふるう女性。 
大量の土埃が舞い上がり、ゆっくり達に降り注ぎ…

「ゆ、ゆぼええええええええ!なにこれぇえ!」 
「ゆっくりできないにおいがするよぉおおお!」 
「きょわいよ…くちゃいよ…もっちょ…ゆっくり…」 
「あぁあ!おちびちゃゆぼええええ!くさいいいい!」

土埃を浴びた瞬間、苦しみだすゆっくり達。赤ゆっくりに至っては永遠にゆっくりした。 
ゆっくりを含め、女性以外の誰もがその原因を理解できなかった。

【これねぇ…私の自信作なの。この中にはね、死んだゆっくりのお飾りが、 
 い~っぱい詰まってるの。いい匂いするでしょ?】

更に沸き立つ球場。一般人に、死んだゆっくりのお飾りは死臭を放つと理解されたのもこの時だった。 
この女性自作の鞭の中には、より臭いを振り撒くように特殊な加工をなされた 
死臭付きのお飾りが大量に詰められており、この鞭の描く軌道がそのまま死臭を放つ。 
直接叩いた時はもちろん、こうして土埃に死臭を混ぜたりと様々な使い方ができる優れものだ。 
死を具現化したかのような鞭を振るう女性は、もはやゆっくり達の目には死神としか映っていなかった。

だいぶ減ったとはいえ、それでも100をくだらない数はいたゆっくりだが、恐怖に怯えきっている。 
もう動くこともままならないゆっくりたちは、駆除当選者達の手によりものの5分で残り1匹となってしまった。 
そして、最後の1匹が鞭の女性につかまれ、高々と掲げられる。 
奇しくも、最初に計画を暴露したあのまりさであった。 
逃げようとあんよをぐねんぐねんとさせているまりさに、そっと、耳打ちをする女性。

「ありがとう、まりさ。」 
「ゆ!?」 
「あなたのおかげで、みーんな死んじゃったわ。」 
「そ、そんな!まりさはなにもわるく…」 
「だからお礼に、とびっきり苦しめて殺してあげる…」

そういうと女性は、マイクを手に取り、最後のマイク中継を開始する。

【これで最後です!】

この瞬間球場は本日最高の盛り上がりを見せた。そして鞭を使い、まりさを軽く、本当に軽く締め上げた。 
包んだという表現のほうが正確かもしれない。

【ゆびょびょびょあああああ!やめでえええええ!ぐざいよぉおおお!】

鞭に触れている肌から、まりさの中に大量のゆっくりの怨嗟の声が流れ込んでくる。 
この鞭に使われているお飾りは、どれも女性によってこの上ない拷問の末死んだゆっくりのもの。 
一つ一つに、膨大な負の感情が詰まっていた。

【やめでぇええ!まりさはじにだぐないよぉおお!みんなうるざいぃい!だまっでねぇええ!】

と、急に拘束が解かれ、地面に落ちるまりさ。体力を消耗しきっており、もはや息も絶え絶えだ。

【ごめんねぇ、まりさ。私、嘘ついてたわ。】

やさしく、まりさに語りかける。少しずつ、少しずつ、女性の顔が変わってゆく。

【ゆぐ…じにだく…ないよぉおおお…】 
【殺すとか、殺さないとか、死ねとか、生きたいかとか言っちゃったわね…】 
【ゆ…さっきから…なにをいっで…】 
【あれね…嘘だったのよ…】 
【ゆ…!?ゆ…ひぃいい…】

本日最高の笑顔を見せる女性。その笑顔に、駆除を見ていた者全てがぞくり、とした悪寒を感じた。

【ゆっくりは…生きてなんかいないのよっ!】 『パァアアアン!』

こうして、渾身の一撃により、まりさは最期の言葉もなく砕け散った。 
この女性の活躍により、今回の一斉駆除は大盛り上がりを見せた。 
所長も、これはこれで結果オーライということで納得しているようだ。 
ちなみに、この勇姿が中継されたことにより、女性の元には全国の加工所からのラブコールや 
メディアのインタビュー、果てはゆっくり虐待趣味の男性からの求婚がしばらく絶えなかったようだ。

こうして、一斉駆除最初の試みは、大成功に終わった。 
この駆除法は全国に知られ、この後すぐに歴史に名を残す「全国一斉駆除」が行われる。 
これにより、全国で野良ゆっくりの数は激減し、また数を増やしはしたものの、 
以前のように人間に歯向かうような野良ゆっくりはとんといなくなった。 
今回所長が考えていたような試みは、他の場所ではきちんと成功したのだ。 
以後は徹底的に野良ゆっくりは全存在の最底辺へと追いやられることになる。 
人間の間では、飼いゆっくりと野良ゆっくりは別物であると思われるほどにである。

このようにして、野良ゆっくり達の、ゆっくりできない時代は幕を開けた。 
その幕が下ろされる可能性は、野良ゆっくりが絶滅することでしか訪れないのかもしれないが…


「ママー、プリンないよー?」 
「ちゃんと探しなさいよ…ほら、ここにあるじゃない。」 
「ほんとだー!もしかして隠してた?ママって意地悪ー。」 
「…はぁ、もう。あ、髪濡れたまんまじゃないの、プリンはドライヤーで髪乾かしてからにしなさい。」 
「自然乾燥で大丈夫だもーん!」

子供はプリンを持って自分の部屋に行ってしまった。

「ふぅ…誰に似たんだか…」

そう愚痴りながら、自分の部屋に入る母親。ふと、部屋の壁に掛けてある写真に目をやる。 
それはあの時の駆除に貢献したとして、市長に感謝状をもらった時のものである。 
あの駆除の大成功により、街はその名を日本で知られることとなったのだ。 
写真の中央には、若かりし母親の姿。その手にはあの鞭が握られている。

「群れを全滅か…やっぱり、私に似たのよね…それにしても子供って、あんなうるさいのを潰すのに 
 人前で平気でやるものねぇ…子供はいいわねぇ。褒めるわけにもいかないけども。」

そう言いながら、思わず頬が緩む。あの後は、子供もできたため虐待からは遠ざかっていた。 
喜んでいいのかはわからないが、娘の行いにかつての自分を見た母親は、とても嬉しそうである。 
群れが全滅したとして、この母親にとっては娘との血のつながりを認識させる、良き出来事にしか過ぎなかった。

このゆっくりできない世界は、何も変わらず回ってゆく。

これまでも、これからも、ずっとずっと…

【おわり】