『れいむのいっせいくじょ』21KB
制裁 ゲス 野良ゆ 公園 一斉駆除 実験 最強 ご都合主義?
※ここのゆっくりは基本ちょっと賢いか頑丈です。(ちょっと?)
※文才さんどこおぉぉ
※独自設定を他者様から無断で沢山お借りしております。多分。

ゆっくり。
突如世界に降ってわいたように出現し、人間の神経を逆撫でして害饅頭やら糞饅頭と罵られる一方で、一方ではペットや家族として愛される、そんな不思議な存在。

彼らはゆっくりすることを目的として、日々ゆっくりしようとしている。
その一つが"おちびちゃん"、つまり子供だ。
飼い、野良、関係なくゆっくりは番と子供を欲しがる。
もちろん、子供がいるとうるさい上にご飯も大量に必要、周囲も汚れるとあって殆どの人間は飼いゆっくりに子供を作らせようとしない。
しかしそれでも子供を作ってしまうのがゆっくり。
更に言えば、人間による強い忠告を受けても子供を作るゆっくりだ、野良ゆっくりは制止する者もおらず、無尽蔵に子作りしてしまう番もいる。
公園などに暮らす野良ゆがそれによって増えすぎた結果、発生するのは人間の公園利用の妨げである。
そして、ようやく説明だけの文章から抜けるが、僕の勤めるこの「加工所」は、そんな増えすぎたゆっくりを減らす"一斉駆除"という業務を行っている。
ゆっくりが饅頭であることを利用したお菓子類、それと飼いゆっくり用の餌やグッズの製造が主な業務だが、同じゆっくり関係ということで一斉駆除も行っているのだ。
勤めると言ってもアルバイトである。一斉駆除は春と秋に多くなって夏や冬には少なくなるので、その分の人員をアルバイトで調整しているのだ。
アルバイトでここに勤め始めたは良いが、一斉駆除は多くなるとはいえ不定期なので、今僕はこうやってこの監獄みたいな6畳程度の事務室の椅子に座って新聞を読みながら連絡を待っている。
一斉駆除の受付窓口(電話)。職員がすべての公共施設を見て回るのでは非常に非効率的なので自治体なんかから連絡があってから急行する。



「また公園のゆっくりが全滅したニュースか」
記事を見て一人呟く。電話番は数名居るのだが、同時に電話する最中に隣の音声が入らないようにという無駄な配慮から電話番は一人一人個室になっている。
記事は「ゲス化したゆっくりの群れが一晩で壊滅し、おうちと称した段ボール箱やブルーシートも一箇所に畳んで片付けられ、群れのものと思われるリボンや帽子などのおかざりもゴミ箱に捨ててあった」と書いている。
同様の現象というか出来事はここ1ヶ月、きっちり週一ペースで報告されており、現在のメディアの推測は「ボランティア精神溢れる若者が夜な夜なゲスゆっくりを制裁している」だそうだ。
なぜ若者に限ったのかは分からないが、まぁ別段心配することでもあるまい。ゲスを制裁する分には誰でも構わないのだ。
ゆっくりが害になるということは国にも認められてお金がおりてくるので、加工所の収入が減ることはないし。
特にそれ以外に気になるニュースはなく、新聞を畳んで事務デスクの電話の横に置く。
代わりに眠気覚ましに買っておいた缶コーヒーを開け、そのままグイッと飲む。
「苦っ」
安心と安定の強烈な苦味が舌の上を駆け回る。僕は味の深みとか分からないのでただ苦いだけである。
眠気覚ましにはちょうど良い。
缶の中を覗いて残量を確かめると、それを机の上に戻す。

突如、事務デスクの正面の、外へと続く金属扉がガタッと音を立てた。
突風ではない、ちょうどゆっくりのような柔らかい何かが外からぶつかったような音だ。
ここが加工所という情報をどこから仕入れてくるのか、野良ゆっくりは死臭もしないのにここに近づこうとしないし、飼いゆっくりも近くまで連れてくると恐怖を感じて泣き出すらしい。
近所の子供が面白半分に投げつけたかな。
そういうことは稀にある。その度に学校と親に連絡しているのだが懲りないようだ。

外開きの重いドアを一気に開ける。
もしゆっくりがいたらこのまま弾き飛ばせて便利なのだが、当ゆんは残念ながら場所を変えたらしい。何も当たる感触がないままドアは開ききった。
足元を見ると1匹のれいむがいた。
周囲には子供どころか人っ子一人いない。閑静な住宅街である。
ということはこのれいむは、一度ドアに体当りした後横に避けたのか。
中々賢いが、加工所に来た野良ゆっくりはほぼ例外なくゆっくりできなくなる、そこは理解しているのだろうか。
まぁドアを避けたことに免じて、話は聞いてやることにする。
後で上司にどやされるかもしれないが、暇つぶしだと言っておこう。そうしよう。

「にんげんさん、ゆっくりしていってね!おねがいがあるよ!」
リボンも身体も薄汚れた野良れいむは一言目にそう言った。
「内容によるが多分ダメだ」
「かんたんなはなしだよ!ビニールぶくろをくれたら、それにゆっくりがえいえんにゆっくりしたあとをいれてここにもってくるよ!」
それは普通の加工所の業務である。僕は少し大げさに驚いた。
回収したゆっくりの死体は練って飼いゆっくり用の餌となる。
それをタダで行ってくれるなら楽ちんだ。
だがゆっくりにそれができるだろうか?そもそもやるだろうか?
「うーん……でも面白そうではあるんだよなぁ……」
聞いたことが無い案件に心が躍る。
元々僕はゆっくりの研究部門に所属したいと希望していたくらいで、ゆっくりに関しては興味がある。研究材料として。
ゆっくり殺しはよく聞くが、それは衝動的であり、ましてや加工所の真似事など噂にもない。
散々悩んだ挙句、僕は一つの結論を出した。
「よしれいむ、いいぞ。袋を渡そう」
「ありがとう!れいむうれしい!」
「ただし条件がある、れいむがここにゆっくり死体詰め合わせを持ってくるまでれいむのリボンを預かって、代わりに加工所の帽子を貸そう」
加工所の帽子はまりさの帽子からつばを取り、更に上面をとんがりではなく平らにしたような感じの白いやつである。予備はたくさんあるので渡しても問題ない。
僕はこの条件でれいむが帰ると一瞬思ったが、れいむは僕の予想と真逆の反応を示した。
「ありがとう!れいむのおりぼんはものをはこびにくくてふべんだからね、これがあればいっせいくじょがしやすくなるよ!」
とても良い笑顔に僕は苦笑しながら、加工所の帽子をかぶったれいむを見送った。
「かこうじょのおぼうしだよ!テンションマックス!」
れいむ(以後加工所れいむと表記)は加工所の面する住宅街をぽよぽよと跳ねていた。
アスファルトを踏んでいるが痛くないようである。
加工所の帽子に入った袋をちょくちょく確認しながら、やたら楽しそうに公園に向かって跳ねている。
普通のゆっくりよりも、上より前方向を意識したジャンプで、散歩中の人間にも追いつけるかもしれないスピードで移動する。
今回加工所れいむが向かっている公園は最寄りではなく、住宅街を抜けて国道沿いに行くと見えてくる駅のすぐ近くの公園。今の加工所れいむのペースで行くと1時間程度で到着するだろう。
噂で、あそこの公園はそろそろ一斉駆除を依頼するのでは、というくらいゆっくりが大量発生しているらしい。もちろん、ゲスも。
加工所れいむはうまく人を避けながらなるべく端を通り、ターゲットの公園に向かう。

ターゲットの公園は近づくだけで場所がわかるくらい、騒々しかった。
何やら揉めているようだ。
一匹のゆっくりをたくさんのゆっくりが取り囲んでいる。
ゆっくりだけで卓球台2つ分くらいの面積を取っていて、もしここを利用する人間が現れたら眉をひそめてどこかに行くだろう。
加工所れいむは思わず割って入って事情を聞きたくなったが、加工所の帽子を被っているのを思い出し、公園の出入り口すべてにけっかいっを張ることにした。
加工所れいむのあんよはそこらのちぇんより遥かに速いから、人間がチンタラやるレベルの早さでけっかいっを用意できる。
木の枝はもちろん現地調達である。ゲスの群れに気づかれないように立ち回り、うまくけっかいっを張ることができた。
出入り口に乱雑に置かれた木の枝。
人間からしたら木の枝が数本折り重なっているだけなのだが、普通の野良ゆはこれだけでも騙されてしまうらしい。
けっかいっのシステムは人間からしたら謎が多い。
これで、よほど賢いゆっくりでないと逃げることはできない。
賢いゆっくりは加工所れいむの制裁対象ではないため、このまま決行する。

「どうしたのー?なにしてるのー?」
「ゆ?じゃまなよそものはどっか……かこうじょだぁ!」
「れいむ、こんなときにかこうじょなんて……ほんとなのおぉぉ!?」
最初に加工所れいむを振り返ったれいむに続き、次々と加工所れいむを見ては悲鳴を上げる。
ゆっくりはおかざりで個体を認識する。
加工所の帽子を被ったれいむは、群れからは一斉駆除の時の人間に見えているのだろうか。傍で見ることができたらさぞ愉快な光景だろう。
「むきゅっよくみるのよ、みんな!あれはゆっくりよ、くそにんげんじゃないわ!」
そんな恐慌状態の中、長と思われるぱちゅりーが声を上げる。
その声にゲスの群れゆっくりたちはほぼ一斉に加工所れいむを見る。
人間ならば、本体(頭)ははるか上空()にあるはずである。
しかし、この加工所の人(ゆっくり)は頭が地面にある。
同じゆっくりだ。
すると途端にゲスの群れは逃げるのを止め、加工所れいむを思い思いに罵倒し始めた。
「こけおどしだったんだね、わかるよー!」
「まともにやりあってもかてないからってひきょうなてをつかうのはやめてね!そんなのゆっくりできないやつがすることだよ!」
「げらげらげら!かりのめいっゆんったるまりさにかてるわけがないんだぜ!」
その罵倒の中にはおちびちゃんも含まれていたが、何を言っているのか分かりにくかったので省いた。
大方親の言うことを全肯定しているだけだろう。

加工所れいむはそれらの罵倒の内容を数分間聞いていたが、納得したように帽子から木の枝を取り出すと口に咥えてこう言った。
「ねぇ、あなたたちはにんげんをどうおもう?」
シンプルな質問が罵詈雑言の中を駆け抜ける。
まるでウェーブのように悪口が止まる。
群れのゆっくりたちは少しの間質問の意味を理解するのにフリーズした。
「……ゆぷぷぷぷ!にんげん?くそにんげんはどれいだよ?ばかなの?しぬの?」
「くそにんげんはちぇんたちのどれいにしてもらえてこうえいにおもうべきなんだよ、わかれよー!」
「くそにんげんなんかにみかたするのぜ?まりさようしゃはしないのぜ?それでもいいのぜ?」
「はくしきなぱちぇがくそにんげんのおろかさをおしえてあげるわね、むきゅきゅ」
だが返ってきた答えはものの見事にゲス、ゲス、ゲス。加工所れいむは制裁を決心した。

ちなみにこれは一種の儀式である。
たまに迷い込んだ飼いゆっくりや、勢いに飲まれているだけのゆっくりがいるため、今の質問の反応で制裁するか否かを決定しているのだ。
この群れはおちびちゃんから老ゆんまで全ゆんゲスだったので、入り口のけっかいっを見抜けるゆっくり以外は制裁する予定である。
いつもの前のめりな跳ね方で、まずはかりのめいっゆんを自称するまりさに近づく。
やはりちぇんよりも速いらしく、大迫力(笑)の加工所れいむに多少ビビったようだが、
「たたかいはまっすっぐはしるだけののうなしじゃかてないのぜ!」
と自分の枝を咥えて加工所れいむを迎え討つ。
かりのめいっゆんまりさが咥えている枝は、加工所れいむのがゆっくりを貫通できるだけの長さであるのに対して中枢餡にぎりぎり届くか届かないかくらいの短さである。
つまり加工所れいむはそのまま突っ込むだけでまりさを串刺しにできるのだが、れいむはそうしなかった。
まりさの目の前かられいむの姿が消える。
瞬時に音で判断しようとするが、周りがうるさいのも相まって全く聞き取れない。
次の瞬間には、もう決着がついていた。
「ぎゃ」
1秒にも満たない断末魔。
かりのめいっゆんまりさは加工所れいむに横から棒を突き刺され、中枢餡を貫かれて物言わぬ饅頭と化した。
すぐさま漂い出す死臭とゆっくりできない光景に群れは2度目のフリーズに入るが、その間に加工所れいむは貰ってきたビニール袋を帽子から取り出し、口で咥えて人間のようにバサッと空気を入れるとただの饅頭となったまりさを放り込んだ。

「……ゆっ?ゆっぐりでぎないよおぉぉ!!」
「むきゅううう!?えれえれえれ……」
「ぱ、ぱちゅりー!くりーむさんはいちゃだめえぇぇ!!」
「ま、まりさ……ゆるせないんだぜえぇぇ!!せいっさいするのぜえぇぇ!!」
再び恐慌状態に入る群れ。ただ、先程と違ってまりさは仇を取るつもりのようだ。
そんな反応を聞いていたのかいないのか、加工所れいむはまりさを先に制裁するようである。
速度面や武器の長さでも負けているまりさたちだが、加工所れいむの対ゆん戦に特化したテクニックの前に為す術もなく、ダメージを与えるどころか触れることすら許されない。
面白いように風穴を開けられていくまりさたちを見て、周囲のゆっくりはより混乱状態に陥り、ついにはぱちゅりー以外のゆっくりが中身を吐き出すレベルにまで達した。
馬鹿でかい悲鳴を上げながら逃げるゆっくりたち、しかしあんよがすくんでいるのかそのスピードは赤ゆと成ゆでそんなに違いはない。
ゆっくりたちはまるで本当の一斉駆除のようなスピードでその数を減らしていった。

満月がちょうど頭上に昇る頃、群れは完全に壊滅した。
巣の中におちびちゃんが隠れているところもあったが、「ゆっくりしていってね」とでも声をかけるとすぐに出てくる。
えれえれで昇天してしまったゆっくりもいたが、おたべなさいをしたゆっくりはどこにもいなかった。
対してれいむは無傷で、息すら切れていない。最初に持っていた枝も、少し餡が付着しているものの健在である。
「とくべつよわいむれだったね、しゅうだんせんもできないなんて」
加工所れいむは袋に入れなかったありすの死体を食べながらそう独りごちる。まりさたちは囲めば数で押して少しは楽に戦えるのに、わざわざ一匹ずつ向かってきたものだから、自らの敗因すら分からずにゆん獄へ旅立っていったのである。
加工所れいむは一斉駆除の真似事をやっているので、普通に草や生ゴミを集めることはない。他のゆっくりを食べて生活している。
と言っても食べているのは人間からしたら迷惑クソ饅頭なのでとても環境にやさしい。
「それじゃあさいごのしごとだね」
加工所れいむは家主のいなくなった段ボールや穴を片付けたり、埋めたりしていく。
もみあげと口で器用に段ボール箱を畳むと、不法投棄の段ボール箱置き場に立てかけてゆく。
流石に可動部の関係で人間よりは効率が劣るが、少なくとも遅くはないだろうというテキパキさだ。
最後に、袋に入れなかったゆっくりたちのおかざりをゴミ箱に吹いて入れる。これでれいむの作業は完了だ。

「マジか……」
出勤した僕は早速、困惑したような声とは裏腹に目をこれでもかと言う程輝かせていた。
昨日一斉駆除もどきを申し入れたれいむが帰ってきたのだ。
しかも帰ってきただけならまだ良い、昨日渡した袋にはたくさんのゆっくりの死体が詰まっている。
おかざりが分別されていないのと、表情からしてあまり苦しめられないで死んだのだろうことが多少残念だが、それでも中々の収穫だ。
「こんなゆっくりもいるんだなぁ……」
感嘆のため息が漏れる。
僕的には大満足の結果だ。
このれいむの思想を他ゆっくりに植え付けられたら、一斉駆除をゆっくりに任せることもできるかもしれない。
まぁそんなことができるなら、ゲス化など起こらないのだろうが……
「れいむはゲスのおうちもかたづけてきたよ!れいむはかしこいからね!」
「それって……」
おおよそゆっくりの所業とは思えないが、だんだんと辻褄が合う。
新聞に載っていたあの現象はこのれいむがやっていたのか!
にわかには信じがたいが、そうなのだろう。

「すごいなれいむ。次も頼めるか、今度はちゃんと報酬払うぞ」
「ゆっ!?それはすごくゆっくりできるよ、れいむがんばるよ!」
今後も実験的にこいつを使って一斉駆除してもらおう。
同じゆっくりがやることによって傍目には抗争にしか見えない。
行き過ぎたところでなければゆっくり愛護団体も目をつむるだろう。
僕はこのれいむに、ゆっくりを甘くする方法などを教えることにした。
研究職にならなくてもこういう機会ってあるんだな。流石、謎の饅頭だ。
あとがき的なもの ----------
制裁システムの続きを書こうと思ったけど展開がまるで浮かばない&とても短いのでとりあえず放り投げて新作です。
カテゴリ欄の「システムあき(1)」っていうのが申し訳なさすぎて;