ユメリカンクラッカー

 

 <ユメリカンクラッカー>

それは鬼威惨主催のもと行われる、ゆっくり家族同士の対戦競技だ。

 

お兄さんはリング状のもの、紐、釣り針、少し豪華なあまあまをもってゆっくりが住んでいる公園へ向かった。

 

「勝てばあまあまがもらえるゲームがあるんだけどやってみない?」

 

「ゆっ!あまあまさん!?やるよ!ゆっくりしないではじめてね!!」

 

適当な家族へと声をかけると、賞品のあまあまに釣られた親ゆがロクにルールも確認せずに参加を表明する。


 

 今日参加する家族の構成は以下の通りだ。

 

 シングルマザーのでいぶ家族

・親でいぶ

・れいみゅ(2ゆ)

・まりちゃ(1ゆ)

 

 まりさとれいむの家族

・親まりさ

・親れいむ

・まりちゃ(1ゆ)

・れいみゅ(1ゆ)

・足りないまりちゃ(1ゆ)

 

公園の広場の端に2家族を集めると、鬼威惨はルールの説明を始めた。

 

「少し長いがよく聞いておけよ。」

 

「ゆっ?」

「どうでもいいからさっさどはじめろぉ!」

「ゆっくりりかいしたよ!」

 それぞれ思い思いの反応をするゆっくりたちに構わず、鬼威惨は続ける。

「このゲームは両家族の子ゆを3ゆずつ選出して行われる。まぁ今回に限っては選出の必要はないな。3ゆの中からゲームに参加させる順番は自由だ。」

「子ゆに紐をつけ、アメリカンクラッカーの要領で子ゆ同士をぶつけ合い、どちらかが永遠にゆっくりするか、紐から外れるまで行う。当然紐から外れたり永遠にゆっくりした方が負けとなる。」

「これを最大3回行い勝ち数の多い家族が勝利となり、あまあまをもらうことができる。」

「子ゆに紐をつける方法については3種類あり、都度その中から選ぶことができる。」

「おさげ、もみあげに紐を結ぶ方法。体に紐を巻き付ける方法。紐の先に釣り針を付け、それを体に刺す方法だ。それぞれにメリットとデメリットがあるからよく考えるんだな。」

 

「少し長くなったが説明はこれで終わりだ。何か質問はあるか?」

 

「ゆっくり理解したよ!」

 

唯一話に耳を傾けていた親れいむが返事をしたところで鬼威惨は少し微笑みゲームの開催を宣言した。

「それじゃあ始めようか。」

 

「お互いに1ゆずつ、参加する子ゆを決めてくれ。」

 

「でいぶはこのおちびちゃんをえらぶよ!でいぶにそっくりなじまんのおちびちゃんだからね!」

 

 でいぶは2ゆのうち片方のれいみゅを選んだようだ。

 

「まりさたちはこのおちびちゃんにするよ!」

 

 まりさ家族からはまりちゃが前に出てきた。

 

「それじゃ、どの方法で紐につけるか決めるんだ。」

 

「ゆ?ほうほう?なにいってるかわからないよ?」

 

 話を聞いていなかったでいぶはこの調子だが、鬼威惨は改めて説明をする。

 

「簡単にいうと、もみあげさん、ぐるぐるさん、ぷすぷすさんといったところだな」

 

「ゆっ!ぷすぷすさんはゆっくりできないよ?もみあげさんはとってもたいせつだし、ぐるぐるさんにするよ!」

 

「よし、れいみゅはぐるぐるだな。そっちはどうする?」

 

「まりさ、きいてね。れいむはとりあえずおちびちゃんのもみあげさんがいいとおもうよ。まりさににたおちびちゃんのもみあげさんはとってもゆっくりしてるからね!」

 

「ゆっ!れいむがそういうならもみあげさんをえらぶことにするよ!」

 

「まりちゃはもみあげだな。いいだろう。」

 

 両者の選択が終わったところで、鬼威惨はそれぞれに紐を結んでいく。

 

「ゆきゃっ!くすぐっちゃいよ!」

 

「ゆっ!まりちゃのもみあげしゃんににゃにしちぇりゅのじぇ?」

 

「準備完了だ。では、第1回戦スタートだ。」

 

 そういうと鬼威惨は、リングの部分を持ち、子ゆを揺らしてぶつけ始めた。

 

「ゆぴっ!?」

 

「ゆぎゃっ!?」

 

 突如襲い掛かってきた衝撃と痛みにまりちゃとれいみゅは悲鳴をあげる。

 

「いぢゃ!?」

 

「おぎゃーじゃっ、たちゅけ!?」

 

言い終わるまもなく次の衝撃が2ゆんを襲う。

 

「おぢびぃぃぃぃ!?ゆっぐりぃぃぃぃ!」

 

「ゆゆっ?なにがどうなっでるのおぉぉ?」

 

「いもーぢょぉぉぉ!?」

 

家族たちも子ゆの異変に気付き、それぞれ声をあげる。

 

「やべどぉぉぉ!!おぢびがいだがっでるだろぉぉぉ!!」

 

でいぶが鬼威惨に詰め寄る。まりさもそれに倣おうとするが、れいむに止められる。

 

「だめだよまりさ、にんげんさんのるーるさんにさからうのはきけんだよ。ゆっくりがまんするしかないよ。」

 

「ゆっ?でもおちびが…」

 

「ゆべっ!?でいぶのおがおがいだいいぃぃ」

 

まりさは納得がいかない様子だったが、鬼威惨に詰め寄ったでいぶが蹴飛ばされるのを目にしてようやく落ち着いたようだった。

 

 その直後、1回戦の決着がついた。

 

ぶちっ、という音とともに、まりちゃのおさげが千切れたのだ。

 

「ゆっ、おちょら?」

 

れいむは、内心ほっとしていた。どちらかが永遠にゆっくりするか、紐から外れるまで続くこのゲーム。おちびちゃんは負けてしまったけど、この負け方ならおちびちゃんは永遠にゆっくりしなくて済む。そう思ったのだ。

 

 しかし現実は非常だった。

 

「ゆべっ!?」

 

 おさげが千切れたまりちゃは宙を舞い、そして地面にたたきつけられた。

 

「おちびちゃん!?」

 

「おちびぃぃぃ!!」

 

「もっぢょ、ゆっぐぢ…しちゃかっ…」

 

「おねーぢゃぁぁぁぁぁ!!」

 

両親の心配もむなしく、まりちゃは程なくして永遠にゆっくりしてしまった。

 

 まりさ家族の悲痛な叫びがその場に響き渡る。

 

「第一回戦はでいぶ家族の勝ちだ。」

 

「さすがはでいぶのおちびだね!とってもゆっくりしているよ!」

 

「おぎゃーじゃぁぁ!!れいみゅいぢゃかっぢゃよぉぉぉ!!」

 

「あとでくそにんげんからあまあまがもらえるからね!!それまでがまんしてね!!」

 

「では第2回戦に参加する子ゆを選んでくれ。」

 

「でいぶはこのちびにするよ!!さっきとおなじぐるぐるさんでいいからね!!」

 

でいぶがそう言うと、姉妹たちよりもだいぶ小さいまりちゃがあんよを引きずりながら前にでてきた。

 

「まけたらあとでせいっさいするからね!!かったらでいぶたちがむーしゃむーしゃしたあまあまさんののこりかすっ!くらいはあげてもいいよ!!」

 

「ゆぅ…」

 

 おそらくはでいぶやれいみゅからひどい扱いを受けていたであろうぼろぼろのまりちゃは、小さく声を出すだけだった。

「ゆぅ…まりさ、さっきはれいむがわるかったよ。おさげさんをえらんだのはしっぱいだったね。」

 

「おちびがえいえんにゆっくりしちゃったのはかなしいけど、れいむのせいじゃないよ。」

 

「れいむ、まりさはこのたりないおちびをつぎにえらぼうとおもうんだけど…」

 

「そうだね、おちびちゃんにはわるいけど、すこしけがをしてもあまりなかないこのこだったらつりばりさんでもだいじょうぶかもしれないからね。」

 

「まりさたちはこのおちびをえらぶよ。つりばりさんにしてね!」

 

「ゆきゃっ!ゆぴっ!」

 

選ばれた足りないまりちゃは自ゆんから前に出てくることはなかったが、これで2回戦の顔ぶれが決まった。

 

鬼威惨は慣れた手つきで足りないまりちゃに釣り針を刺し、ぼろぼろのまりちゃに紐を結ぼうとする。

 

「ゆっぐ!ゆやぁ…」

 

ぼろぼろのまりちゃを見ると、恐怖からかちーちーを漏らしていた。

 

鬼威惨は構わず紐をまりちゃに結び付けていく。

 

「では、第2回戦スタートだ。」

 

2回戦はあっけないほどに早く決着がついた。

 

開始前から終始ちーちーを漏らしていたまりちゃの紐が、ちーちーが潤滑油のような働きをしたことによってすぽんっ、とまりちゃの体から抜けてしまったのだ。

 

「ゆぎぃぃぃ!なにやっでるんだぁぁぁぁ!!」

 

「ぐずなちびはさっさどじねぇぇぇぇ!!」

 

「ゆぁぁぁぁぁ!!」

 

ブチュッ!

 

 紐から外れたまりちゃを待っていたのは、あまりにもあっけない死だった。

 

 一方で足りないまりちゃは、何が起こったかもわかっていないようだが、釣り針から外され家族のもとに戻されると、両親のぺーろぺーろやすーりすーりで満足そうにしている。

 

 ゲームは互いに1勝1敗、次が勝敗を分ける一戦となった。

 

「互いに残った子ゆは1ゆずつだ。方法を決めてくれ。」

 

「まりさたちはぐるぐるさんをえらぶよ!!」

 

「でいぶはぷすぷすさんをえらぶよ!!さっさとしてね!!」

 

「ゆっ!?おきゃーしゃ、ぷすぷすさんはゆっくりできないよ?いちゃいいちゃいじゃよ?」

 

「おぢびちゃんはだまってね!!さっきのぐずちびがまけちゃうのがわるいんだよ!!

かくじつっ!にかつためにはぷすぷすさんでがまんしてね!!」

 

「ゆっきゅちわかっちゃよ…」

 

 普段のでいぶの姿をよく知っているれいみゅはそれ以上反論することなくおとなしく従った。

 

 まりさ家族は、最初のおさげの失敗、健常な子ゆにはやはり釣り針は痛いだろうということを考慮した結果、最後のれいみゅはぐるぐるさんでいこう、と相談して決めたようだった。

 

鬼威惨はテキパキと準備をすすめ、3回戦の準備が整う。

 

「では第3回戦、スタートだ。」

 

「ゆっ!にんげんさん!すこしだけまってね!!おちびちゃんとちょっとおはなししたいよ!」

 

スタートの宣言に重なる形でれいむが声をかける。

 

「いいだろう。」

 

「ゆっくりありがとう!おちびちゃん、よーくきいてね!」

 

「ぐるぐるさんからぬけてしまわないように、もみあげさんでしっかりおさえてね!そうすればさっきのあいてのおちびちゃんのようにはならないよ!」

 

「ゆっきゅちりきゃいしちゃよ!!」

 

「では改めて、スタートだな。」

 

 3回戦は、なかなかに拮抗していた。

 

釣り針でしっかりと紐につけられたれいみゅ。親ゆからのアドバイスをしっかりと守り、ぐるぐるさんから抜けないように粘るれいみゅ。度重なる衝突によるダメージでどちらの体も限界に近づいていた。

 

 そして。

 

「もう…やぢゃ…」

 

「ゆぢゅ!?」

 

 紐を抑えていたれいみゅが度重なる衝撃で吐餡し、失餡死するのと釣り針が刺さったれいみゅの中枢餡に、少しずつ振動でずれていった釣り針が傷をつけるのは同時だった。

 

「ふむ…これは引き分けか…」

 

「ゆやあぁぁぁぁ!?おちびぃぃぃ!?」

 

「ゆがぁぁぁぁ!!なにやっでるのおぉぉぉぉ!?」

 

「いもーちょぉぉぉ!?」

 

再びその場がゆっくりたちの絶叫に包まれる。

 

 本来のルールであれば、決着がつくまで4回戦以降が行われるのだが、今回鬼威惨が声をかけた家族はどちらも子ゆが3ゆんしかいなかった。

 

 なので引き分けにするしかないのだ。

 

「さてどうしたものか…生き残っている子ゆの数も同じだしな…」

 

 鬼威惨は生き残った子ゆの多いほうを勝利としようかと考えたのだが、生憎どちらも1ゆしか生き残っていない。

 

「でいぶ、お前があの時まりちゃを潰さなければお前たちの勝利になったものを…」

 

「ゆっ!?じゃあでいぶのかちでいいよ!!くそにんげんはさっさとあまあまをよこしてね!!すぐでいいよ!!」

 

「お前が潰していなければ、の話をしているんだ。実際はそうじゃないだろ。」

 

「ゆぎいぃぃぃ!!でいぶ、もうっ!がまんのげんっかいだよ!!ぐずなにんげんはさっさとあまあまをよこしてじねぇぇぇ!!」

 

 しびれを切らしたでいぶが鬼威惨にとびかかる。

 

「やれやれ、仕方がないな…」

 

 当然ゆっくりが人間に敵うはずもなく、あっけなくでいぶは蹴り飛ばされた。

 

「ゆがぁぁぁ!!でいぶのうつくしいおがおがぁぁぁ!!」

 

 でいぶは転がりながら声を上げる。

 

 

「ゆっ?おきゃー」

 

ブチュッ

 

「ゆゆっ?なにかつぶしたきがするよ?」

 

蹴り飛ばされ、転がった先がよくなかった。

 

いや、鬼威惨からすればよかったのかもしれない。もちろん意図してのことではなかったが。

 

「ゆがぁぁぁん!!どうじでおちびちゃんがつぶれでるのぉぉぉぉ!?」

 

 でいぶは、転がりながら自ゆんのれいみゅを轢き殺してしまったのだ。

 

「くくっ…まぁ、これで決着とするか。」

 

 決着のつけ方に悩んでいた鬼威惨は少し笑い声を漏らすとそう言った。

 

「まりさとれいむ。お前たち家族の勝利だ。これが約束のあまあまだ。」

 

 そういうと鬼威惨は、知り合いの鬼威惨が働いているケーキ屋さんで売れ残ったホールのケーキをまりさ家族の前に置くと、まりさ達の反応も待たずにその場を後にした。

 

 

 

公園の出口に差し掛かったあたりで、でいぶが文句を垂れる声が聞こえたような気がするが、一仕事終えた鬼威惨にはもはや関係のないことだ。

 

「ふぅ、今日はとてもゆっくりした休日が過ごせたな。そうだ、ケーキでも買って帰るか。」

 

 ケーキ屋さんへと向かう鬼威惨の足取りはどこか軽やかだった。

 

 

 

 

翌日、無残にも潰されたまりさとれいむ、足りないまりちゃの亡骸と、少し離れたところで口の周りにクリームをべったりとつけたまま踏みつぶされているでいぶの亡骸を公園の清掃員さんが掃除するハメになるのだが、それはまた別のお話。